フレーミング効果は、情報の伝え方によって人々の判断や意思決定が変化するという現象です。
例えば、ある病気について「死亡率が10%」と聞いた場合と「生存率が90%」と聞いた場合、どちらが安心感を与えるでしょうか?
多くの人が後者の「生存率が90%」にポジティブな印象を持つと思いますが、このように同じ病気でも、そのフレーミング—情報の提示の仕方—によって異なり、今回のケースでは治療を受ける意欲やその後の行動が大きく変わる可能性があります。
このフレーミング効果は、マーケティング、政治、健康診断など、さまざまな場面で用いられています。消費者が商品を選ぶ際、投票者が候補者を評価する際、患者が治療方法を選ぶ際など、様々なシーンでフレーミングの影響を受けています。
本記事では、そんなフレーミング効果について、具体例を交えながら初心者の方でも分かりやすく解説します。
フレーミング効果とは?リフレーミングとの違い
先ほども記載しましたが、フレーミング効果とは、同じ情報でも、その伝え方によって人々の判断や意思決定が変化する現象です。
似たような言葉で「リフレーミング」という言葉を聞いたことのある方もいるかもしれませんが、フレーミング効果とリフレーミングは似ているのですが対象が違います。
フレーミング効果は「伝え方」に、リフレーミングは「捉え方」にフォーカスしています。
フレーミング効果
- 受け手に情報がない状態で発揮しやすい
- 同じ情報でも、その伝え方によって人々の印象や評価を変えること
- 例:同じことを「損失」と「得」のどちらのフレームで伝えるかによって、人々の行動や意思決定を変える 等
リフレーミング
- 受け手に情報がある状態で発揮しやすい
- 物事の捉え方や考え方を変えることで、新たな視点や発想を得ること
- 例:ネガティブな出来事を「チャンス」と捉え直すことによって、モチベーションを高める 等
フレーミング効果は非常に幅広い概念であるため、一概に上記のように分類するわけではありません。受け手がすでに何らかの情報を持っている状況でも、その情報の「再フレーミング」によって意見や態度が変わることも十分に考えられます。しかし、一般的に言って、フレーミング効果は新しい情報が導入される初期段階で影響力を発揮することが多く、リフレーミングは既存の情報に基づいて意見や態度を変容させる場合によく用いられます。
フレーミング効果の3つの方法
損失を強調する
一般的に人は利益を得るよりも損失を避けることを選ぶという心理傾向があります。これを「損失回避の法則」と言ったりもしますが、人々は損失のリスクを感じて、それを避けるために必要な行動を取る傾向にあります。
その傾向を踏まえて、もし相手にダイエットを決意してほしい場合「ダイエットしてほしい」と直接伝えるのではなく、「ダイエットをしないと、将来的に高血圧や糖尿病などの生活習慣病になる可能性があります」という損失(健康リスク)にフォーカスした伝え方にすることで、決意する意欲を高める効果があります。
得を強調する
一般的に明確な利益や報酬を前にすると、積極的な行動を起こしやすくなる傾向があります。再びダイエットを例にすると「ダイエットをして10kg減ると、100万円の医療費を節約できると言われています」等、「医療費の節約」という具体的なメリットをにフォーカスした伝え方にすることで、決意する意欲を高める効果があります。
中立的な表現にする
最後に中立的な表現を使用する方法です。この方法は、情報をできるだけ客観的かつ偏りのない形で提供することで、信頼性の高い情報にする方法です。例えば、製品やサービスの品質を説明する際に、「この製品は最高です」という主観的な表現よりも、「この製品のお客様満足度は90%です」という客観的なデータを用いる方が信頼性がありますよね。同様に、「この映画は最高だった」という個人の感想より、「この映画は”感動的な映画ベスト3″に選ばれました」といった評価に基づく情報の方が信憑性が高いと感じられまよ。
WEB広告でよく使われるフレーミング例
様々シーンで活用されているフレーミング効果ですが、WEB広告でよく使用されているものをいくつかご紹介します。
損失を強調するパターン
「最後の1点!」: 在庫が限られていると感じさせ、購買意欲を高めます。
「セールは今夜まで!」: 期限を設けることで、逃したら損するという緊急感を生む。
「未読メッセージが3件あります」: 未読メッセージがあると感じると、何があるのか見逃したくないと思います。
得を強調するパターン
「今なら送料無料!」: 今すぐ購入することで得られるメリットを強調。
「初回限定:50%オフ」: 新規顧客に対して、最初の購入で大きな割引があるとアピール。
「会員登録で特典ゲット!」: 会員になることで受け取れる特典やクーポンを強調。
中立的な表現パターン
「顧客満足度95%」: 客観的なデータに基づいて製品やサービスの品質を示す。
「全成分表示」: 製品の成分を全て公開し、何が含まれているかを客観的に示す。
「3年連続売上No.1」: 長期的な成功を証明する客観的なデータを使用。
ミックスパターン
「今日限定:50%オフ+送料無料、このチャンスを逃すな!」: 得を強調(50%オフ、送料無料)と損失を強調(今日限定、逃すな)を組み合わせ、ダブルのインパクトを狙います。
これらのフレーミング効果を理解して適用することで、WEB広告の効果を高めることが期待されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。「損失を強調する」「得を強調する」「中立的な表現を使う」といった代表的な3つのフレーミング効果をご紹介しましたが、どれが最も良いというわけではなく、相手や状況に併せてうまく使い分けることが重要です。フレーミング効果を上手に活用して、より良いコミュニケーションを図っていきましょう。