様々なシグナルを元に入札調整が行われる自動入札は、より効果の高い広告運用を目指す上で検討すべき機能の一つです。
今回はYahoo!検索広告(旧Yahoo!スポンサードサーチ)の自動入札について、入札戦略毎の特徴や、注意点などをご紹介します。
Yahoo!検索広告の自動入札とは?
自動入札とは、特定の目的を達成できるよう、オークションが発生するたびに入札価格を自動調整する機能です。
-
- 認知度を上げたい
= ページ最上部掲載 - コンバージョン単価を一定に保ちつつ、コンバージョン数は増やしたい
= コンバージョン単価の目標値 - コンバージョンごとに異なる価値を加味しながら、目標とする広告費用対効果を達成したい
= 広告費用対効果の目標値
- 認知度を上げたい
など、該当キャンペーンで達成したい目的に応じて広告運用者自身が任意の自動入札タイプを選択することができます。
ただし、自動入札タイプの中には、「過去30日間に15件以上のコンバージョンが発生しているキャンペーンでの利用を推奨(広告費用対効果の目標値)」とされているものがあったり、そもそもコンバージョン値の設定していないと使用できないものものあるため、キャンペーンの目的だけでなく、利用条件、推奨条件も確認してから自動入札タイプを選択することをおすすめします。
Yahoo!検索広告の自動入札と手動入札の違い
自動入札は以下3点において手動入札に比べ大きく異なります。
-
- 自動入札はリアルタイムに入札価格が変動
- 自動入札は学習期間が必要
- 自動入札は様々なシグナルを活用
自動入札はリアルタイムに入札価格が変動
手動入札は広告グループやキーワード単位で設定した入札価格に応じて配信が行われるため、入札価格を変更しないかぎり変わりません。
一方、自動入札は過去の掲載結果などに応じて24時間365日入札価格が変動します。
自動入札は学習期間が必要
手動入札には学習期間がないため、適切な入札価格を設定することで初動から安定したパフォーマンスを出すことも可能です。
一方、自動入札はシステムが安定したパフォーマンスを出すためには学習期間が必要です。この学習期間中はパフォーマンスが安定しにくい傾向にありますが、学習期間終了後はパフォーマンスが安定し、場合によっては手動入札の掲載結果を上回る場合もあります。
自動入札は様々なシグナルを活用
手動入札は「デバイス」「地域」「時間帯」など、キャンペーン単位で設定できる項目に対して、入札価格調整率(%)を活用し入札価格を微調整することが可能です。
一方、自動入札はこれらの項目以外にも「ブラウザー」「OS」「実際に検索されたキーワード」など、手動入札では考慮されないシグナルを用いて入札調整されます。
※自動入札「ページ最上部掲載」は、入札価格の最適化にシグナルが使用されません。
Yahoo!検索広告の自動入札の種類とポイント
目的 | 入札タイプ | 向いてるケース |
サービス/商品の認知度を上げたい | ページ最上部掲載 | ・検索結果の最上部に配信したい ・費用対効果はあまり気にしない |
サイトにアクセスを集めたい | クリック数の最大化 | ・クリック数を集めたい ・費用対効果はあまり気にしない |
コンバージョンを増やしたい | 拡張クリック単価 | ・配信をある程度コントロールしたい ・コンバージョンを増加させたい |
予算内でコンバージョンを最大化したい | コンバージョン数の最大化 | ・配信をコントロールしなくてもいい ・コンバージョンを増加させたい |
予算内でコンバージョンの価値を最大化したい | コンバージョン価値の最大化 | ・執筆段階では未リリースのため割愛 |
コンバージョン単価を維持しながら、コンバージョンを最大化したい | コンバージョン単価の目標値 | ・目標コンバージョン単価が決まっている ・予算内でコンバージョンを増加させたい |
広告費用対効果(ROAS)を維持ながら、コンバージョン価値を最大化したい | 広告費用対効果の目標値 | ・目標費用対効果(ROAS)が決まっている ・予算内でコンバージョンの価値を増加させたい |
ちなみに、コンバージョン、コンバージョン価値に対して最適化される自動入札タイプの中には一定のコンバージョンが発生していないと使用できないものもあります。(以下参照)
コンバージョンが満たない場合などは、マイクロコンバージョンなどの導入も検討しましょう。
Yahoo!検索広告の自動入札活用のポイント
費用対効果を気にしない、入札タイプ「ページ最上部掲載」「クリック数の最大化」は目的が合致していれば気にせず利用しても問題ありません。
迷うのは「拡張クリック単価」からどの自動入札タイプに変更するかだと思います。
Yahoo!ヘルプページの内容と筆者の経験を交え、次のポイントを抑えることで思いもよらないミスが起こらないようキャンペーンに合った入札タイプを見つけることができます。
自動入札導入前
・自動入札タイプの推奨設定を満たす
・撤退ラインを決める
・関係者がいる場合、自動入札に関する説明し合意を得る
自動入札導入後
・導入前との変化を確認する
自動入札導入前>自動入札タイプの推奨設定を満たす
例えば、広告費用対効果の目標値については過去30日間に15CV以上が推奨とされており、入札タイプに応じた推奨を満たすようにしましょう。
「1コンバージョンあたりの価値」を設定の上、過去30日間に15件以上のコンバージョンが発生しているキャンペーンでのご利用を推奨します。
自動入札導入前>撤退ラインを決める
自動入札はキャンペーンの目的を達成する手段であり、自動入札を利用することが目的ではありません。場合によっては手動入札の方が良い成果が出るケースもありますので、パフォーマンスによっては撤退(手動入札に変更or設定の見直し)も重要です。
ただし、自動入札は学習期間があるため、最低でも2週間程度配信した後に判断することをお勧めします。
自動入札は設定してから効果が表れるまでに一定の時間が必要となりますので、設定後2週間程度は自動入札タイプを変更しないことを推奨します。
尚、入札戦略のステータスが7日間以上「学習中」が続くケースは、その後改善される見込みが低く設定の見直しが推奨されています。「学習中」が続くケースの多くは、予算、もしくは配信ボリューム不足のため、予算増額やキーワードの見直し、マッチタイプの変更などを検討する必要があるでしょう。
「学習中」が7日以上継続的に表示される場合は、以下の項目を確認し、必要に応じて設定を変更してください。
広告が配信されているか(インプレッションが発生しているか)
各ターゲティング設定により、広告の表示対象を絞りすぎていないか
予算は適切か
十分なコンバージョンが発生しているか
※「コンバージョン単価の目標値(tCPA)」または「コンバージョン数の最大化」を設定している場合のみ
目標コンバージョン単価(tCPA)は適切か
※「コンバージョン単価の目標値(tCPA)」を設定している場合のみ
自動入札導入前>関係者がいる場合、自動入札に関する説明し合意を得る
広告代理店であればクライアントの担当者、インハウスであれば直属の上司に自動入札を使用する合意を得ましょう。学習期間中はパフォーマンスが安定しないことがほとんどのため、短期的に見ればパフォーマンスが悪化するケースも少なくありません。
先に言えば「説明」。あとに言えば「言い訳」。
言い訳になる前にしっかり説明を行いましょう。
自動入札導入後>導入前との変化を確認する
目的が達成されているかが重要ですので、を選択されていれば。であればを確認しましょう。また余裕があればであれば、であればについても確認しましょう。
以前、で運用していた広告アカウントがあったのですが、目標は満たしているものの平均クリック単価が高騰し、その結果キャンペーンでのが下がってしまったケースがありました。このキャンペーンは検索数の多いキーワードが設定されているため、起点になりやすくリマーケティングや指名検索のコンバージョンにも貢献していたため、結果として全体のコンバージョンが下がってしまいました。
そのため、コンバージョン単価だけ、広告費用対効果だけといった見方だけで良し悪しを判断しないことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
Yahoo!検索広告の自動入札は、手動入札では実現できないような素晴らしい機能のため、「とりあえず自動入札にしよう」と設定される方が多いです。ただ、素晴らしい機能も正しい理解がないまま導入してしまうと上手く機能しないケースもあります。
自動入札は目的ではなくあくまで手段ですので、目的を見失わないよう運用を心がけたいですね。(自戒を込めて)