現在、Google広告をはじめとしたweb広告媒体では「P-MAX」のような自動化機能を活用したキャンペーンが台頭してきています。
手動調整できる部分が少ないことから、運用者としてはまだまだ物足りない面が多いものの、日々精度が向上し機能も増えている印象があります。
そんな中、Google検索広告では新たに「AI Max」という機能が登場しました。
「AI Maxってなに?」「P-MAXとどう違うの?」といった疑問に答えるべく、本記事ではAI MAXについて徹底解説いたします。
「AI Max」とは
Google検索キャンペーンで使用できる、AIを使ってキャンペーンをより最適化する機能です。
現在、一部の広告アカウントにベータ版として提供されています。
AI Maxの主な目的は「ユーザーや検索環境の変化に対応する」ことです。
世間の検索環境は近年著しい変化を遂げ、従来の「検索窓に知りたいことを入力する」だけではなく、音声・画像・ AI を活用し䛯検索をするユーザーが増加しております。
これによって5語以上の検索語句による複雑な疑問の検索が増えたり、画像検索は月間200億回(うち4回に1回は購入意欲に基づく検索)行われているというデータもあります。
このような変化により、従来のキーワードに対して広告を配信する方法ではユーザーが知りたいことへ関連性をもった配信をすることが難しくなっており、人間の力だけでは太刀打ちできない部分に対してAI機能を活用していくことが重要だと考えられるようになりました。
【事象】
・検索行動の加速と多様化 → 顧客に関連性の高い広告配信を行う予測が困難
【課題】
・キャンペーン作成と設定、メンテナンスの業務量が増える
└キーワード、広告コピーの最適化作業
└ビジネス戦略が複雑化 → 成果検証が困難に
AI Maxで広告主の課題を解決
前述の課題がある状況では、本来ビジネスにもっとも重要な
・マーケティング戦略の立案
・マーケット需要への対応や機会創出
に充てる時間が無くなり、ビジネス全体に大きな悪影響を与えてしまう可能性があります。
このような状況を解決するため、AI Maxでは主に以下の機能が提供されます。
・ターゲティングによる「見込み顧客の発見」
⇒顧客が特定のキーワードを入力した場合に限らず、見込み顧客の意図に応じて適切に広告配信できる
・バリエーションあるクリエイティブで「求めている情報の提供」
⇒ユーザーの検索語句やコンテキストに応じたアセットを利用し、見込み顧客のニーズに応える
・URL選定による「最適なLPへの誘導」
⇒ユーザーニーズをもっとも満たすと考えられるページに誘導し、ユーザーの情報収集と意思決定を後押し
機能の詳細は次項目で説明します。
AI Maxで強化できる3つの機能
AI Maxでは、以下の機能を強化することでパフォーマンスの最大化を図ります。
検索語句とのマッチング
キーワードだけではなく、クリエイティブやLPなどに基づいて、最も関連性の高いユーザーの検索語句にリーチを拡大。
ユーザーの履歴に基づくマッチングも行い、インテントマッチよりさらに拡大した配信にて見込み顧客を発掘する。
(例)
・「敏感肌の乾燥対策スキンケア」という検索語句に対して「保湿剤」の広告を配信
テキストのカスタマイズ(自動作成アセット)
既存のコピーとLPコンテンツを使用して新たな広告コピーを作成し、ユーザーの検索語句に一致する高い関連性を図る。
様々なユーザーニーズを予測して広告文を次々入稿することは手動でもできるが、「実際に入力された検索語句」に対して「リアルタイムに」広告文を生成して配信できる点が大きな強み。
最終ページURLの拡張
ユーザーの検索語句やインテントに基づき、最も関連性の高いLPを広告の最終URLに設定して配信。
例えば、広告LPは商品一覧ページに設定しているものの、検索語句によって「具体的な商品像がある」と判断された場合には、特定の商品詳細ページに誘導するなどの拡張をする。
AI Maxで利用できる詳細設定
P-MAXは、特にリリース当初は設定できる部分がかなり限定され、コントロールしにくい点が大きなデメリットでした。
ですが、近年は徐々に設定・透明性が増した部分が増え、AI Maxもその流れを汲んでいるようです。
【AI Maxで利用できる詳細設定】
・除外キーワードリスト
・広告見出しと説明文の手動設定
・自動生成されたアセットの削除
・URLの除外
・アセットの除外(テキストの自動生成で特定のフレーズ、単語が広告配信されないようにする)
・広告グループ単位での地域ターゲティング
・広告グループ単位でのブランド登録機能
AI Maxを最大活用するためのコツ
1.学習期間の考慮
他のAIキャンペーン同様、システムがデータ収集して学習を安定化させるには時間を要します。
一般的には「最低2週間以上」と言われており、特に悪い意味で配信が広がりやすいキーワードについては、この期間を過ぎてから除外設定を検討していくのが推奨されます。
2.データに基づく意思決定
キーワードやURLの除外設定、アセットの除外などは使いすぎるとパフォーマンスが制限されてしまう可能性があります。
こちらを可能な限り防ぐためには、AI Maxが収集したデータに基づき、論理的に根拠を持った考察、意思決定を行うことが重要です。
3.データの確認
主に、以下の4つの指標でデータを確認することができます。
①テキストのカスタマイズによって生成されたアセットを確認
キャンペーン>アセット>拡張された最終ページURLのアセット で確認できます。
生成されたアセットの組合せとURLが確認できます。
生成されたアセットの中にパフォーマンスの高いものがあれば、レスポンシブ検索で追加設定するなどの改善が図れます。
②広告に使用されたURLの確認
キャンペーン>ランディングページ>ランディングページ にて確認できます。
AI Maxで選択されたランディングページは、「自動選択」と表示されます。
③検索語句の確認
キャンペーン>検索語句>右上の「AI Maxの検索語句とランディングページ」 で確認できます。
AI Maxで広告配信された検索語句に加え、実際に配信された広告見出しとランディングページの組合せを確認できます。
④キーワードの確認
キャンペーン>キーワード の最下部で確認できます。
登録キーワード以外の、ランディング ページまたはアセットが原因で一致した検索語句からの総トラフィックを確認することができ、
「AI Maxでどのような成果が出たか」を大まかに把握することが可能です。
設定方法
1.AI Maxが利用できるキャンペーンの「キャンペーン設定」で「AI Max でキャンペーンを最適化する」をオンにする
2.キャンペーンの運用方針に基づいて、「アセットの最適化」欄の「テキストのカスタマイズ」「最終ページURL」の拡張設定を行う
※「最終ページURL」の拡張は「テキストのカスタマイズ」を有効にしないと利用できない
※「最終ページURL」の拡張を有効にすると、広告見出しと説明分の固定位置機能が適用されなくなる
3.広告グループ単位で、検索語句とのマッチング機能のオンオフを設定可能
まとめ
検索広告のAI機能を最大限に発揮する「AI Max」。
現在、自動入札やインテントマッチを活用しているキャンペーンがあれば、まずは設定を有効にしてみることをお勧めします。
実際に運用した感触では、AI Maxで拾ってきた検索語句には精度が怪しい(あらゆる場面を想定してもニーズがあるとは思えない)ものも多く含まれており、除外設定をしっかりと行わないと最適な活用は難しいかもしれません。
ただ、それが原因で大幅に配信が乱れることはなく、AI Maxで拾ってきた検索語句の合計では目標CPO内で配信できておりましたので、まずは現行キャンペーンの補佐的立ち位置で使用できると良いのではないかと思います。
実際、検索行動が急激に変容していることは疑いようのない事実ですので、「手動管理がいい」「自動管理がいい」という点が問題ではなく、どのような運用がもっともユーザーニーズに応え、かつ自社サービスの成果を最大化できるかという視点で俯瞰的に考えることが重要です。