Webサイトを検索エンジンで上位表示させ、さらには急速に進化するAI時代にも対応するための重要なポイントを、初心者の方にも分かりやすく解説します。
SEOとは?基礎から理解する「検索エンジン最適化」
SEOは「Search Engine Optimization」の略で、日本語では「検索エンジン最適化」と呼ばれます。
簡単に言えば、GoogleやBing、Yahooなどの検索エンジンでユーザーが特定のキーワードを検索した時に、あなたのWebサイトを検索結果のより上位に表示させるための、あらゆる取り組みのことです。
なぜSEOが重要なのか?
SEOに取り組む最大の理由は、安定した質の高いアクセスを獲得することです。
- アクセス数の最大化: 検索結果の1ページ目に表示されるだけで、クリック率は飛躍的に高まります。特に1位~3位に表示されると、多くのユーザーをサイトに呼び込むことができます。
- 費用対効果の高さ: 広告のようにクリックごとに費用が発生するわけではなく、一度上位表示されれば、長期的に広告費ゼロで集客し続けることができます。
- 質の高い見込み顧客: 検索するユーザーは、特定の「悩み」や「知りたいこと」といったニーズを持って訪れます。そのため、購入や問い合わせといったコンバージョン(成果)につながる可能性が高い、質の高い見込み顧客を集めることができます。
SEO対策の3つの柱
SEO対策は、主に以下の3つの要素に分類されます。
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コンテンツSEO(最も重要)
- 定義: ユーザーの検索意図(知りたいこと)を深く理解し、それに応える質の高い、専門的なコンテンツを作成することです。
- ポイント: Googleが重視するE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を満たす情報を提供することが求められます。
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内部施策(テクニカルSEO)
- 定義: 検索エンジンがあなたのWebサイトを正しく「クロール(巡回)」し、「インデックス(登録・評価)」しやすいように、サイトの技術的な構造を整えることです。
- ポイント:
- モバイルフレンドリー(スマホ対応): 現在、ほとんどの検索はスマートフォンで行われています。
- 表示速度の高速化: ページの読み込み速度はユーザー体験とSEOに直結します。
- サイト構造の最適化: ユーザーも検索エンジンも迷わない、論理的で分かりやすいサイト構造にします。
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外部施策
- 定義: 他の信頼できるサイトからリンク(被リンク)を獲得するなどして、サイト自体の信頼性や権威性を高めることです。
- ポイント: リンクの数だけでなく、質(権威性・関連性)が重要です。良質なコンテンツがあれば、自然と被リンクは増えていきます。
最初のステップは検索エンジンに「見つけてもらう」こと
すべてのSEO対策の前提として、まずは「検索エンジンにページをみつけてもらう」ステップが不可欠です。
検索エンジンのシステム(クローラー)があなたのWebサイトを巡回し、情報をデータベースに登録(インデックス)しなければ、どんなに良い記事を書いても検索結果に表示されることはありません。新しいページを作成したら、Google Search Consoleなどを活用して、すぐにインデックスを促しましょう。
検索エンジンの進化とAI対策の重要性
最近のSEOにおいて、従来の対策と同じくらい、あるいはそれ以上に「AI対策」が重要になってきています。これは、生成AIチャットボットや、Google検索結果に表示される「AI Overview」のような機能が、ユーザーの情報収集行動を変えているためです。
プロの視点から見ても、AIからの流入数はまだ母数が少ないのが事実ですが、AIがあなたのサイトを参照しているということは、サイトの信頼性や評価を知るための重要な参考情報の一つとなります。
AI時代におけるユーザー行動の変化
- AIへの相談増加: BtoBビジネス領域ではAIの活用率が高く、またBtoCでも特定の世代(Z世代など)を中心にAI利用が増加しています。
- AIが選ばれる理由: AIは「否定されない」「中立的」「論理的」であるため、ユーザーにとって相談しやすい相手となり、AIからの情報(要約や引用)が購買行動に影響を与え始めています。
AIフレンドリーなサイトの作り方:3つの核心
AIにあなたのサービスを正確に認識してもらい、信頼できる情報源として言及してもらうためには、以下の3つの対策が核心となります。
- 仕様の明確化(AIでいう「構造化データ」)
- 最も重要なのは、商品の「仕様」を細かく、正確に記載することです。
- これは、AIが情報を理解するための「構造化データ」に相当します。AIは、複雑なコンテンツの中から「商品の名称」「価格」「機能」といった仕様情報(スペック)を正確に読み取り、他のサービスと比較・検討します。
- 基本: 仕様情報を正確に、抜け漏れなく提供することが、AIに自社サービスの内容を正確に「一致」させる基本中の基本です。

- ニーズとシーズを結ぶコンテンツ
- 企業や研究機関が持つ独自の技術や情報(シーズ)をベースに、ユーザーの具体的な悩みや課題(ニーズ)と結びつけるコンテンツ作りが求められます。
- シーズ: 企業独自の技術、研究成果、特許情報など、競合にはない強みの源泉です。
- ニーズ: ユーザーが検索窓に入力する具体的な悩みや質問です。
- AIは、あなたの「シーズ」がユーザーのどの「ニーズ」を解決できるのかを評価します。仕様(構造化データ)の補足として、ユーザーのニーズに沿った利用シーンやメリットを解説する非構造化データ(コラムや事例記事)も提供することが、AIによる多角的な理解を助けます。
- サイト内情報の統一と引用される工夫
- 情報の統一: サイト内でサービスの名称や機能、価格などの情報が異なっていると、GoogleからもAIからも信頼性が低いと見なされ、上位表示されにくくなります。サイト全体で情報の統一を図ることが非常に重要です。類似した表現ではなく、あえてコピペで情報を統一する方がAIの理解を助ける場合もあります。
- 引用の意識: 質の高い情報を提供し、上位表示できると、アフィリエイト会社やニュースメディアなどに引用されやすくなります。AIは引用先リンクの頻度を参考にしているため、引用されること自体が、SEOやAIの評価につながりやすくなります。
成果につながるコンテンツとサイトの健全性
ただ単に文字数が多い記事を書くのではなく、集客とコンバージョン(成果)につながるコンテンツ作り、そしてサイト運営の基本を徹底する必要があります。
- ユーザーの目的達成を意識する
- 着地サービス(ゴール)の意識:ユーザーが検索した後に、最終的に利用してほしい「サービス」(例:商品の購入、問い合わせ、資料請求など)を意識したコンテンツを作成しましょう。コンテンツの終着点を明確にすることで、記事の構成や呼びかけが変わります。
- AI Overviewへの返答:GoogleのAI Overviewのような機能に簡潔に要約してもらうことを想定し、質問への回答を1ページ以内になるべく情報を網羅するように意識して、簡潔に返答できるコンテンツ構成を検討しましょう。
- サイトの健全性を保つ
- コンテンツの主目的:Webサイトの主目的からズレたコンテンツはスパムと見なされる可能性があります。例えば、専門サービスを提供しているサイトであれば、そのサービスにわずかしか関係のない記事(例:Word Pressの一般的な使い方、メールフォームの技術論など)は、極力避けることが推奨されます。
- 自社での解決策の明記:ユーザーの悩みを「自社のサービスではどう解決できるか」を明確に記載しましょう。一般的な解決策を述べるだけでなく、自社独自の価値を打ち出すことが重要です。
- ユーザービリティ(使いやすさ)の改善
- フォームの設置:ECサイト(物販)以外では、Googleがユーザビリティ評価の一環として、問い合わせフォームの設置状況を見ている可能性があります。
- フォームの細分化:単一の「お問い合わせフォーム」だけでなく、ユーザーのニーズや悩み事ごとに「〇〇に関する問い合わせ」「資料請求フォーム」などとフォームを分けることで、ユーザーの利便性が向上し、コンバージョン率の改善にもつながります。
まとめ:これからのWebサイト運営に必要なこと
これからのWebサイト運営で成功するためには、従来の「検索エンジン対策(SEO)」に加えて、「AIに正確に理解・言及してもらうための対策(AI対策)」を両輪に機能させることが不可欠です。
- AI構造化データ(仕様)の明確化:商品の「仕様」を細かく、正確に記載し、AIの理解を助ける。
- ニーズとシーズの結合:独自の技術や強み(シーズ)をユーザーの具体的な悩み(ニーズ)に落とし込んだコンテンツを作る。
- 情報の統一と健全なサイト運営:サイト内の情報に一貫性を持たせ、サイトの主目的から外れたコンテンツは排除する。
まずは、既存のコンテンツを見直し、商品の仕様をAIが理解できるように構造化する具体的なステップから、取り組んでみましょう。