広告運用業界においてもAIが浸透しつつあり、入札調整やデバイス調整など、入札金額に関する調整を「自動入札」という名の元AIに任せるケースが増えています。
そんなAI真っ盛りの今、改めて重要度が増しているのが「広告文」です。
筆者の経験でも、広告文を変更したことで成果が向上したケースが多々あり、入札調整での差別化が難しくなりつつある今、競合他社と差をつけるためには良い広告文を作成することは極めて重要な仕事と言えるでしょう。
今回はこのような広告文について、文字数の上限や名称、そしてそれぞれの役割について解説したいと思います。
レスポンシブ検索広告の名称・文字数
名称 | 最大文字数(半角) |
パス1 | 15文字 |
パス2 | 15文字 |
広告見出し1 | 30文字 |
広告見出し2 | 30文字 |
広告見出し3 | 30文字 |
説明文1 | 90文字 |
説明文2 | 90文字 |
ちなみに、Google検索広告とYahoo検索広告では、各項目の名称が異なる場合があります。
たとえば、Yahooでは「見出し」が「タイトル」に、また「パス」が「ディレクトリ」と呼ばれることがありますが、実際の検索結果の表示方法には違いはありません。
効果の出やすいレスポンシブ検索広告の広告文とは
様々な広告アカウントの運用を通じて特に重要だと思うことを5つご紹介します。ご自身の広告アカウントで活かせる内容がありますと幸いです。
2.できるだけキーワードを広告見出しに含める
3.文字の余白を考慮する
4.同じ内容でも異なる表現を検討してみる
5.見出しで広告の対象者を明確にする
1.強い訴求を理解している場合は、見出しや説明文の固定を検討する
レスポンシブ検索は検索ユーザーに併せて、見出し・説明文の組み合わせを自動で変更(最適化)する広告ですが、「クリック率」を元に最適化されています。そのため「クリック率は改善されたけれど、コンバージョン率が下がった」というケースも少なくありません。
固定することで上記のような問題を防ぐことが期待できますので、各広告媒体の担当者の方とは真逆の意見になりますが、もし既に強い訴求を把握しているのであれば見出し1、説明文1などで固定を検討することをオススメします。
2.できるだけキーワードを広告見出しに含める
大きく2つの目的があります。
- ユーザーに見つけてもらいやすくなる
- ユーザーが探している情報と関連した重要な情報と認識してもらえる
2-1.ユーザーに見つけてもらいやすくなる
アイテムによっては呼ばれ方が複数あるものがあります。
例えば、アウトドアで利用している方も多いインフィニティチェアですが、あまり知らない人は「リクライニングチェア アウトドア」と検索したりもします。
もし、後者のあまり知らない方が「リクライニングチェア アウトドア」と検索した際に「インフィニティチェアの通販」という広告文が出てきたらどうでしょうか。
瞬時に「リクライニングチェア アウトドア = インフィニティチェア」と理解できる方はそう多くないと考えられるため、ユーザーに関係のない広告(情報)と判断され、クリックすら発生しにくくなりそうですね。
2-2.ユーザーが探している情報と関連した重要な情報と認識してもらえる
ユーザーが入力したキーワードは、彼らの求める情報や興味を反映しています。
例えば、「男性」と「メンズ」は同じ意味を持ちますが、ユーザーによって受け取り方が異なり、「メンズ」という言葉がより爽やかなイメージを持つ場合もあります。
もしあなたが「メンズ ファッション」と検索した際に、「男性向け洋服の通販」という広告見出しの広告文が出たらどうでしょうか。
意味は同じでも、探しているサイトと異なると感じ、すぐに別の広告(自然検索を含む)を探すかもしれません。
広告文を通じて自社の強みを伝えることは必要ですが、それより先にユーザーに見つけてもらうことと、クリックする価値のある重要な情報であることをアピールすることが重要です。
そのため、できるだけキーワード(検索語句)を広告見出しに含めることを検討しましょう。
3.文字の余白を考慮する
画数の多い漢字だけでなく、カタカナ、アルファベット、ひらがな、記号なども使用することで、適度に余白が生まれ読まれやすい文章になります。
画数の多い文字が多用された文章に対して、「読みにくい」「難しそうだな」と感じる方は少なくないと思いますが、その理由は認知負荷が高い文章だからです。
認知負荷とは元々認知心理学の言葉で、特定のタスクを遂行する際に心理的なストレスや負担を表す概念ですが、広告文においてもとても重要な視点です。適度に認知負荷を下げるには余白を設けるのが有効であることが多いです。
以下、同じことを訴求した広告文になりますが、どちらがパッと見で認識しやすいでしょうか。
②の方が漢字(「月」「日」)が少なくなっている他、記号が多く適切に余白が設けられています。
このように記号やカタカナなどを適切に使用することで、余白のある読みやすい文章になるため、特に漢字を多用しているのであれば一度試試してみることをオススメします。
4.同じ内容でも異なる表現を検討してみる
広告文で良く使われる表現の一つに「無料」があります。初回無料、サンプル無料などありますが、無料ではなく「0円」という表現にすることで成果が出るケースもあります。
その他にも、「期間限定」ではなく「今だけ」※という言い回しにすることで反応が異なるケースもあります。
同じ情報でも、表現を変えるだけでクリック率が大幅に改善されるケースもあるので、魅力的な別の言い回しがないか検討することをオススメします。
※景品表示法にはくれぐれもお気を付けください
5.見出しで広告の対象者を明確にする
商材/サービスによっては対象者が限られたケースがあります。
法人向けのサービスの場合、個人の方がクリックされてしまうと費用対効果が悪くなってしまうため、見出しに【法人向け】と入れてしまうのが有効です。
その他、もし富裕層向けのサービスを扱っている場合は、見出しに金額を入れるのも一つです。
富裕層向けということで相場より価格が高くなると思いますが、広告文に価格を表記することで一般の方のクリックが減り、広告効率が高まることが期待できます。
このように限られた方に対して提供している商材/サービスは対象者を明確にすることも検討しましょう。
検索広告で使える記号
媒体によって使える記号が違っていたり、仕様できたとしても使用場所が制限されているような記号もあります。
以下では使用頻度の高い記号をYahoo検索広告と比較してご紹介します。
種別 | 記号 | 全角・半角 | Google検索広告 | Yahoo!検索広告 |
句読点
|
。 | 全角 | ◯ | ◯ |
、 | 全角 | ◯ | ◯ | |
感嘆符
|
! | 全角 | ◯※1 | ◯ |
! | 半角 | ◯※1 | ◯ | |
疑問符
|
? | 全角 | ◯ | ◯ |
? | 半角 | ◯ | ◯ | |
パーセント記号
|
% | 全角 | ◯ | ◯ |
% | 半角 | ◯ | ◯ | |
円マーク | ¥ | 全角 | ◯ | ◯ |
ドル記号
|
$ | 全角 | × | × |
$ | 半角 | ◯ | ◯ | |
ハイフン
|
- | 全角 | ◯ | ◯ |
– | 半角 | ◯ | ◯ | |
アンパサンド
|
& | 全角 | ◯ | ◯ |
& | 半角 | ◯ | ◯ | |
計算記号
|
@ | 全角 | × | ◯ |
@ | 半角 | × | ◯ | |
括弧
|
() | 全角 | ◯ | ◯ |
() | 半角 | ◯ | ◯ | |
『』 | 全角 | ◯ | ◯※2 | |
「」 | 全角 | ◯ | ◯※2 | |
[ ] | 全角 | ◯ | ◯※2 | |
≪ ≫ | 全角 | ◯ | ◯※2 | |
[ ] | 半角 | × | ◯※2 | |
【】 | 全角 | ◯ | ◯※2 | |
<> | 全角 | ◯ | ◯※2 | |
《》 | 全角 | ◯ | ◯※2 | |
{ } | 全角 | × | × | |
中黒(中点) | ・ | 全角 | ◯ | ◯ |
三点リーダー
|
・・・ | 全角 | ◯ | ◯ |
… | 半角 | ◯ | × | |
から(ユニコード:U+301C) | ~ | 全角 | ◯ | ◯ |
チルダ(ユニコード:U+FF5E) | ~ | 全角 | ◯ | ◯ |
チルダ(ユニコード:0x7E) | ~ | 半角 | ◯ | × |
コロン
|
: | 全角 | ◯ | ◯ |
: | 半角 | ◯ | ◯ | |
セミコロン
|
; | 全角 | × | ◯ |
; | 半角 | × | ◯ | |
スラッシュ
|
/ | 全角 | ◯ | ◯ |
\ | 全角 | × | × | |
/ | 半角 | ◯ | ◯ | |
シャープ
|
# | 全角 | ◯ | ◯ |
# | 半角 | ◯ | ◯ | |
ハッシュ | ♯ | 全角 | × | ◯ |
ダブルコーテーション
|
” | 全角 | ◯ | ◯ |
“ | 全角 | × | ◯ | |
” | 半角 | ◯ | ◯ | |
シングルコーテーション
|
‘ | 全角 | × | ◯ |
’ | 全角 | ◯ | ◯ | |
` | 全角 | × | ◯ | |
´ | 全角 | × | ◯ | |
’ | 半角 | × | ◯ | |
カンマ
|
, | 全角 | × | ◯ |
, | 半角 | ◯ | ◯ | |
ピリオド
|
. | 全角 | × | ◯ |
. | 半角 | ◯ | ◯ | |
アンダーバー | _ | 全角 | × | × |
矢印
|
⇒ | 全角 | × | × |
⇔ | 全角 | × | × | |
→ | 全角 | × | × | |
← | 全角 | × | × | |
↑ | 全角 | × | × | |
↓ | 全角 | × | × | |
商標記号
|
® | 全角 | ◯ | × |
™ | 全角 | ◯ | × | |
その他記号
|
* | 全角 | × | × |
♪ | 全角 | × | × | |
〃 | 全角 | × | × | |
〆 | 全角 | × | × | |
※ | 全角 | × | × | |
〒 | 全角 | × | × |
※1 見出しでの利用は不可
※2 見出し、説明文、主体者表記でそれぞれ1セットのみ使用
検索広告の広告文作成で気を付けたいこと
広告媒体によって文字数のカウント方法が異なる
Googleの場合、半角カナは1文字という扱いですが、Yahooでは2文字、つまり全角1文字扱いとなるため注意が必要です。
記号または句読点を繰り返し使用する
例えば「セール!!!」など、「!」を連続使用するケースです。連続させることで、目立ちやすくなったり、より感情を伝えやすくなったりしますが、ポリシー的にNGとなるので注意が必要です。
本来の使い方で記号を使用してない
例えば「セール。、」などです。本来の使い方で使用しないことで、良くも悪くも目立ちますが、こちらもポリシー的にNGとなるので注意が必要です。
まとめ
広告媒体側の機械学習が進み、広告で調整できる部分が年々減ってきておりますが、まだまだ運用者でバリューを出せる箇所が残っていいます。特に広告文は「もうやり切った」と感じやすいですが、上述通り表現を少し変えるだけで成果が変わることも多いです。
運用者が介在する価値の高いレバーを見つけ、より効率的な広告配信を目指していきましょう。