広告予算、どのように決めていますか?
突然ですが、日々広告運用に励んでいるみなさまに質問です。
新しい商材で新たに広告配信したいとき、広告予算やキーワードはどのように決めていますか?
「とりあえず1日1,000円からでいいかな」
「利益の20%ほどにしておくか」
「まずは商材の名前&おすすめ、ランキングとかで配信してみよう」
のように、今までの経験則やイメージでなんとなく設定していませんか?
そして、「後は配信してから考えよう」と、悪い意味で行動が先行してはいませんか?
もちろん、まずは配信してみて実際の動きを把握することは重要です。
しかし、配信結果に合わせて調整するだけでは対応が後手に回ってしまうことが多く、戦略があいまいなまま配信してしまうことになりかねません。
そもそも広告を配信していくら売上が増えるか見当もついていないのに、広告予算を決められるはずがありません。
そこで今回は、Google広告の「キーワードプランナー」からキーワードを立案し、適切な配信予算を設定する方法をご紹介します。
※本記事は、「キーワードプランナーを聞いたことがある、触ったことがある」以上のレベルの方を想定して執筆しています。
キーワードを見つける
キーワードの過去の実績を見る
まずは実際にキーワードプランナーを使ってみましょう。
Google広告管理画面の左側「ツール」>「プランニング」>「キーワードプランナー」を選択します。
そうしたら、「新しいキーワードを見つける」と「検索のボリュームと予測のデータを確認する」のどちらかを選択する画面になりますが、今回は「新しいキーワードを見つける」を選択してください。
すると、「新しいキーワードを見つける」という画面が出てきます。
ここで商材名などのキーワードを入力することで、入力したキーワードやそれに関連したキーワードの様々な情報を閲覧することができます。
試しに、(暑いのでなんとなく)「そうめん」と入力してみましょう。
↓
「結果を表示」をクリックすると、キーワード「そうめん」に対して以下の情報が出てきました。
・3か月の推移
・前年比の推移
・ページ上部に掲載された広告の入札単価(低額帯)
・ページ上部に掲載された広告の入札単価(高額帯)
・競合性
などです。
画面右上の年月や折れ線グラフを見ても分かる通り、これらの情報は過去にGoogleが集めた実績データに基づいて算出されています。
地域や言語を指定することもできます。
キーワードの候補を見つける
ここで、今回の目的「広告予算とキーワードを決定する」ことに立ち返りましょう。
キーワードプランナーの「新しいキーワードを見つける」で役に立つのは、キーワード候補とその情報を同時に確認できることです。
今回の結果では、関連性の高いキーワード候補として「三輪 そうめん」や「揖保 乃糸 三 神」など特定のブランド、「にゅうめん」など別種類の商材が出てきます。
ここで自分たちの商材に関連するキーワードを選定していきましょう。
とはいいつつも、関連キーワードは大量に出てきます(今回は約1,000件)。
筆者は「月間平均検索ボリューム」の降順で並べ替え、ボリュームが100件に満たないものは一旦無視する手法をよく取ります。
画面右上「キーワード候補をダウンロード」からGoogleスプレッドシートの形式でダウンロードすると、作業がしやすくなります。
広告予算を決める
キーワードを仮決定して予算を試算する
今回広告を配信するそうめんは、以下のような特徴があるものとします。
・自社オリジナルブランド
・そうめん、にゅうめん(温かいそうめん)をラインナップ
・普段使い、贈り物それぞれの需要がある
この特徴に関連するキーワードとして、以下を選定しました。
ここで、それぞれのキーワードの「月間平均検索ボリューム」と「ページ上部に掲載された広告の入札単価」に焦点を当てます。
いわゆる「検索回数」と「クリック単価」と考えれば分かりやすいでしょう。
クリック数×クリック単価=広告費
ですので、あとは「クリック率」が分かれば、これらのキーワードを配信するのに必要な広告費が導けますね。
クリック率は商材や広告文、入札戦略により大きく変わってきますが、ここでは計算がしやすいよう一旦「10%」と仮定します。
また「ページ上部に掲載された広告の入札単価」については(低額帯)と(高額帯)がありますのでどちらを基準にすべきか悩ましいですが、その市場におけるよほどの「強者」でなければ(高額帯)で広告配信するのに必要な広告費を捻出することが難しいので、この記事では(低額帯)の単価を基準として試算します。
試算した結果は以下のとおりです。
この「月間広告費」の合計値が、これらのキーワードで広告配信するのに必要な費用となります。
コンバージョンを試算する
「よし、これでキーワードと予算が決まったのでさっそく配信しよう!」
・・・とはならないですよね。
今のままでは「配信する」ことはできるものの「配信によってどんな成果が得られる」かは把握できていません。
そのため、これらのデータからどのくらい成果が得られるかを検証していきます。
まず、各キーワードでどのくらいのコンバージョンが得られるかを試算していきます。
例えばキーワード「そうめん」では月間検索数が110,000、クリック率が10%のときクリック数が11,000としました。
このクリック数にコンバージョン率を掛け合わせることで、コンバージョン数を試算できます。
コンバージョン率は持ちうるデータや知見から推測するしかありませんが、クリック率同様計算しやすいよう「1%」と仮定します。
また、コンバージョン数を算出することで、CPA(1CVあたりの費用)も算出できます。
試算した結果は以下のとおりです。
これで、広告予算に対して期待できるコンバージョン数が把握できましたね。
ここに商品単価や利益率も加味すれば、広告予算の妥当性も判断できそうです。
キーワードごとの期待値を見直す
「これで上司も説得できたし、いよいよ配信だ!」
・・・と言いたいところですが、実はまだ落とし穴があります。
それは「本当にそのクリック率、コンバージョン率で試算していいのか?」ということです。
先ほどは考え方の順序を理解してもらえるよう、あえて計算しやすい率を仮設定しました。
しかし、キーワードごとに「その語句を検索するユーザーの心理」はそれぞれ異なるはずです。
例えば「おいしい そうめん」と検索する人は、美味しいそうめんのゆで方やレシピが知りたいのかもしれません。
「そうめん 人気」で検索する人は、世間で人気のそうめんを買うという前提なのかもしれませんね。
このように、「このキーワードで広告クリックする人は、うちの商材を見てもあまり買ってくれなそうだ」などキーワード一つ一つに対してユーザー心理を想像して、それぞれのクリック率やコンバージョン率を再検討する必要があります。
購入意欲の高そうなキーワードは積極的に競合していく可能性があるので、入札単価を高額帯に変更して試算するのも良いかもしれません。
また、先ほどは「低額帯」の入札単価にて試算しましたが、より購入意欲の高そうなキーワードは、その分広告を上位表示すればするほど効果が見込めると考えて、「高額帯」の入札単価で試算するのも良いかもしれません。
一旦話を整理すると、「キーワードごとの期待値を見直す」については以下の数値を再検討するとよいでしょう。
・コンバージョン率
・入札単価
ただ、これらの変数は試算段階で考えすぎるときりがない部分ですので、そこは状況に応じて判断していくのが賢明です。
本記事では、複雑にならないよう以下のように見直してみました。
・ユーザーの購入意欲が高そうなキーワード→コンバージョン率5%に変更
試算した結果は以下の通りです。
広告費とコンバージョン数が、先ほどと大幅に変わりましたね。
このようにキーワードごとの期待値を見直さずに大体で試算してしまうと、市場の実態と大幅にかけ離れた広告配信をしてしまうことになりかねないので、注意が必要です。
事業目標の達成が第一!
広告予算やキーワードの設定に対して、なんとなく苦手意識を持つ広告担当者は多いかと思います。
そのような方は「予算を決めるときはキーワードプランナー」とまずは取り決めておくことで、その苦手意識を少し解消することができるかもしれません。
とはいえ「キーワードごとの期待値を見直す」で触れたとおり、広告運用は成果に影響する複合的な要素が数多く存在する、非常に難しい作業です。
細かな理屈にこだわりすぎたり、逆に行き当たりばったりで行動するのではなく、「事業にどういった目標があって、達成のために広告運用でどういった貢献ができるか」を考えて判断していくことが大事だと思います。
そのため、本記事に書いてあることもそのまま鵜吞みにせず、みなさまの事業に合わせた形にカスタマイズしていただけますと幸いです!