コンバージョンAPI(CAPI)って知っていますか?
「拡張コンバージョンのこと?」
「なんだか難しそうでよくわからない……」
そう思っているなら、かなり損をしているかもしれません。
実は今、広告の裏側では
「売れているのに、売れていないことにされている(=コンバージョンしているのにカウントされていない)」ということが頻繁に起きています。
近年プライバシーのルールが厳しくなり、
これまで当たり前だった「だれが・いつ・どこで・何を買ったか」というトラッキング(追跡)ができなくなりつつあります。
これにより、広告のAIは「目隠し」をされたような状態になり、大なり小なりパフォーマンスがどんどん下がっています。
これを解決するのがコンバージョンAPIです。
消えていた購入データを復活させ、広告のAIの「賢さ」を取り戻すための、いわば広告の修復キットみたいなものです。
今回はコンバージョンAPIの設定ではなく、コンバージョンAPIが登場した背景や、拡張コンバージョンなどの周辺知識、導入するメリットなどについて解説したいと思います。
iPhoneユーザーの半分以上が消えてしまう?
これまでは、ユーザーがサイトをまたいでも「同じ人」だと認識できていました。
そのため、「10時に広告をクリックしたAさんが、20時に自分のサイトで商品を買った」という足跡が正確にわかったんです。
しかし今は、プライバシーを守るためにブラウザがその「足跡」を消してしまいます。
その結果、「売上は上がっているのに、どの広告が効いたのかさっぱりわからない」ということが起こり、広告媒体側のAIも「いつ誰に広告配信すればよいのかわからない…」という事態が起こっています。
消えたデータをつなぎ直す「3つのアプローチ」
「コンバージョンAPI」「拡張コンバージョン」「カスタマーマッチ」
この3つが、消えかけたデータの「点」を「線」でつなぎ直すための、いまできる対策です。
なぜこれらが必要なのか、これまでの経緯をたどるとよくわかります。
かつての神:サードパーティクッキー
以前は広告データのトラッキングに「サードパーティクッキー」というものが使われていました。
サードパーティクッキーとは、ユーザーが訪問したWebサイトとは別のドメインから発行されるクッキーです。
これを使うと冒頭で紹介したように、「だれが・いつ・どこで・何を買ったか」という追跡が簡単にできる、まさに神のような存在でした。
しかし、ユーザーの知らないところで個人の行動が筒抜けになる仕組みは、当然プライバシーの観点で問題視されるようになります。
GDPR※1をはじめとする各国の規制強化、Appleが2017年にSafariへ導入したITP(Intelligent Tracking Prevention)※2、それに追随するFirefox※3やBrave……という流れが一気に加速。最後はGoogleもChromeでの段階的廃止を表明し、サードパーティクッキーは事実上の終焉を迎えることになります。
※1 GDPR(ジーディーピーアール)
「本人の許可なく個人データを勝手に使うな!」という、ヨーロッパ生まれの超厳しいプライバシー保護ルール。これがきっかけで、世界中のネット広告の仕組みがガラリと変わることになりました。
※2 ITP(アイティーピー)
AppleがSafariに搭載した「ユーザー追跡お断り機能」。こいつが、今回の「24時間でクッキー(足跡)を消してしまう」犯人です。マーケターにとっては、計測を邪魔する「最強のガードマン」のような存在です。
※3 Firefox(ファイアフォックス) / Brave(ブレイブ)
Safariと同じく、プライバシー保護を売りにしているブラウザ。標準で広告や追跡をガチガチにブロックする機能がついている、いわば「計測泣かせの忍者ブラウザ」たちです。
代わりの対策:ファーストパーティクッキー
サードパーティクッキーが禁止されると、各広告媒体は「自社のドメインから発行したクッキー」として計測を継続しようとしました。
これがファーストパーティクッキーと呼ばれるものです。
しかし、これだけでは「サイトをまたいだ追跡」ができず、精度が落ちてしまいます。
カスタマーマッチ
そこで、メールアドレスなどの情報を「ハッシュ化(暗号化)」して媒体に送ることで、ユーザーを特定する「カスタマーマッチ」という手法が広がりました。
これにより、「この人には広告を出す」「買った人には出さない」というターゲティングがしやすくなります。
さらなる規制:Safariの24時間制限
しかし、Apple(Safari)はさらに厳しくなりました。
JavaScript(GTMなど)で発行されたファーストパーティクッキーを「追跡用だ!」と見抜き、24時間経つと強制的に無効化するようにしたのです。
昨日広告を見た人が今日買っても、もう「別人」扱いです…
拡張コンバージョン / 詳細マッチング
Googleはこの欠損を補うため「拡張コンバージョン」を投入しました。
Metaでは同様の機能が「詳細マッチング」と呼ばれています。
カスタマーマッチと同様に、メールアドレスなどを送信することで、Googleアカウントなどの情報と紐付け、クッキーがなくても計測できる確率を高める仕組みです。
カスタマーマッチが『誰に配信するか』を決めるための名簿作りなのに対し、拡張コンバージョンは『どの広告で売れたか』を特定するための答え合わせです。
残念ながら、これもブラウザ上の制限を完全に突破できるわけではありません。
最後の大敵:アドブロック
ブラウザの設定や「アドブロック」などのツールによって、広告タグの動作そのものが止められてしまうケースも増えています。
こうなると、拡張コンバージョンも機能しなくなってしまいます。
コンバージョンAPI
これらすべてを突破するために登場したのが、「コンバージョンAPI」です。
これまではブラウザから直接広告媒体にデータを送っていましたが、コンバージョンAPIは「自社の中継サーバー(sGTMなど)」を経由してデータを送ります。
こうすることで、ブラウザからは「広告の追跡」ではなく「サイトの正常な通信」に見えるため、ブロックされずに正確なデータを媒体に届けることができるのです。
どうやって導入する?
「よし、コンバージョンAPIをやろう!」と思っても、実はサイトの作り(プラットフォーム)によって選択肢の幅が異なります。
たとえば、ShopifyやWordPressなどの有名なプラットフォームを使っているなら、標準機能や専用のプラグインを使って、比較的かんたんに導入できる場合があります。
一方で、独自にカスタマイズされたサイトや、特定のカートシステム(W2など)を使っている場合は、エンジニアの手で「専用のサーバー(sGTM)」※を構築するのが最も確実な方法になります。
※ sGTM(サーバーサイドGTM)
これまでユーザーのブラウザ上で動いていた「タグマネージャー」を、自分たちのクラウドサーバー(専用の箱)の中に引っ越しさせたもの。計測データを安全に広告媒体へ届けるための「専用の中継基地」だと思ってください。
コンバージョンAPIを導入する方法は大きく分けて2つあります。
「スピード重視!難しい設定は丸投げしたい!」なら
⇒ 外部のマネージドサービスを利用しましょう。導入が早く、運用保守の手間もかかりません。
「コストを抑えて、自由にコントロールしたい!」なら
⇒ 自前(sGTM:サーバーサイドGTM)で構築しましょう。エンジニアの手が必要ですが、長期的なコスト効率とデータの自由度は抜群です。
まとめ
広告運用のAI化がどんどん進んでおり、AIに「良質なデータ」を送信できているかがより大切なフェーズになっています。
コンバージョンAPIを活用し、より良いマーケティング活動をしていきましょう。