2026.01.16

Google広告P-MAXを「複数キャンペーン」で運用すべき理由とは?成果を最大化する3つのメリットと成功の鍵

Google広告の運用において、今や欠かせない存在となった「P-MAX(パフォーマンス最大化)キャンペーン」。

1つのキャンペーンで検索、ディスプレイ、YouTube、Gmailなど全ての広告枠へ配信できる手軽さが魅力ですが、こういったことでお悩みの方も多いのではないでしょうか?

「AIに任せっきりで、これ以上の成果が見込めない」
「特定の商材ばかり売れてしまい、注力したい商品の露出が増えない」

このような課題を解決し、P-MAXのポテンシャルを120%引き出す手法として、「訴求軸・LP・商材別の複数キャンペーン運用」をご紹介します。

本記事では、P-MAXをあえて複数に分けて配信することの戦略的メリットを弊社独自の視点で徹底解説します。

 

そもそもP-MAXを「分ける」必要があるのか?

P-MAXの基本思想は「1つのキャンペーンにデータを集約し、AIの学習効率を最大化すること」です。

 

パフォーマンス型広告の広告主様は P-MAX を使用することで、1 つのキャンペーンからすべての Google 広告のインベントリにアクセスできます。

引用:P-MAX キャンペーンについて – Google 広告 ヘルプ

 

そのため、かつては「下手に分けない方が良いのでは?」と考える方も多かったと思います。

しかし、直近の運用トレンドでは「データの集約」と「戦略的なコントロール」のバランスが重要視されていると考えます。

全ての商材を1つの「箱」に入れてしまうと、AIは「最もコンバージョンが獲りやすい(安価な)場所」ばかりを探してしまい、ビジネス全体の利益構造や、企業のブランディング意図を無視した配信に偏ってしまうリスクがあるからです。

では、具体的に複数配信に切り替えることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?

 

メリット1:予算と入札戦略を「利益構造」に合わせて最適化できる

まず、P-MAXの特性の一つとして、入札戦略(目標CPAや目標ROAS)がキャンペーン単位でしか設定できないことが挙げられます。

そのため「利益率が異なる商材を同列に扱わない」ことが重要になってきます。

 

例えば、以下の2つの商品を取り扱っているとします。

商品A:単価5,000円 / 粗利2,000円(目標CPA:1,000円)
商品B:単価50,000円 / 粗利20,000円(目標CPA:10,000円)

これらを1つのキャンペーンにまとめると、AIは「獲得単価が安い商品A」を優先して配信してしまいます。

結果として、売上規模の大きい商品Bの露出が減り、「ビジネス全体の利益が最大化されない」という事態に陥ります。

 

こういった場合に、複数キャンペーンのメリットが発生します。

キャンペーンを分けることで、商品Bに対して「高い目標CPA(許容コスト)」を個別に設定できます。

これにより「利益率の高い商材にも確実に広告予算を配分し、全体の粗利総額を最大化する」ことが可能になります。

これは特に経営視点での広告運用において不可欠な考え方で、運用代行の方は見落としてしまいがちな部分です。

そのため、クライアントから依頼を受けたまま運用を進めるのではなく、各商材の利益率やクライアントの広告目標(単に売上を伸ばしたいのか、利益を追求したいのか)を正しく認識することが重要です。

 

メリット2:訴求軸×LPの最適化により「AIの学習精度」が向上する

P-MAXには「アセットグループ」という機能があり、1つのキャンペーン内で複数のクリエイティブを使い分けることが可能です。

しかし、「特定のターゲットに、特定のLPを見せる」という部分までは細かくコントロールすることができません。

そこで、キャンペーンの分割が効果を発揮します。

キャンペーンの分割により「ターゲットごとに出口を変える」ことで、AIの学習精度を向上させるのです。

 

例えば「パーソナルジム」の広告を出す場合、ユーザーの悩みは多岐にわたります。

ターゲットA:「結婚式までに短期間で痩せたい」
ターゲットB:「健康診断の結果を改善したい(生活習慣病予防)」

同じパーソナルジムへの入会に興味を持っていても、ターゲットAとBではデモグラフィック(性別・年齢などの属性)から入会意欲を高めるポイントまで多くの違いがあります。

アセットグループを分けるだけでは、ターゲットAに「ドレスを美しく着こなすためのダイエットプラン」を強調したLPを、ターゲットBには「医師監修や健康維持」を強調したLPを見せることはできるものの、その配信量や配信面をコントロールすることは現状困難であり、かつキャンペーン単位での配信幅が広すぎて機械学習にとって良いとは言えません。

 

そこでキャンペーンを分けることで、それぞれの「オーディエンスシグナル(ターゲットのヒント)」が明確になったキャンペーンを作成することができます。

AIに対して「このキャンペーン(LP)は、結婚式を控えた20-30代女性に重点的に配信してほしい」という明確な指示を出すことで、AIは迷うことなく適切なユーザーを探し出せるようになります。

それがキャンペーン単位で配信され学習が進むことによって、一つのキャンペーンで配信しているときよりも精度と効率が上がり、早いタイミングでCVRを最大化することが期待できるようになります。

 

またこの場合、それぞれのターゲットの想定CPAが異なるパターンも数多くあるでしょう。

そういった点でもキャンペーン分割は効果を発揮できます。

 

メリット3:PDCAサイクルを高速化し、勝ち筋を可視化できる

P-MAXは、従来の検索広告などに比べてブラックボックス要素が強いメニューです。

今年に入ってから検索語句やチャンネル別のパフォーマンスが見れるなど、徐々に透明化されてはいるものの、こういった点に抵抗感を持たれる方も多いのではないのでしょうか。

 

こういったP-MAXのデメリットに対して、キャンペーンを戦略的に分割しておくことで「何が成果に寄与しているか」の透明化を図ることができます。

 

例えば、1つのキャンペーンに複数のLPや広告、ターゲティングを混在させてしまうと、成果が悪化した際に「バナーが悪いのか」「LPが合っていないのか」「そもそも今の市場に商材がマッチしていないのか」等の切り分けが困難です。

アセットグループごとに区別することでデータの透明化はある程度図れるのですが、

・アセットグループごとに配信量を調整できない

・アセットグループごとにチャンネルデータが見られない

といった仕様があるため、適切なPDCAを回すことが難しいです。

 

そこで「訴求Aキャンペーン」「訴求Bキャンペーン」と一定のルールを設けてキャンペーンを分割することで、配信結果の切り分けや改善施策の検討を効率的に行うことができ、より論理的に根拠をもったPDCAを回せることが期待できます。

また、

・訴求A(価格重視)はCPAは低いが、解約率が高い
・訴求B(品質重視)はCPAは高いが、リピート率が高い

のような「LTV(顧客生涯価値)」を見据えた分析も、キャンペーンを分けて管理することで初めて可能になります。

得られた知見は、広告運用だけでなく、商品開発やサービス改善といった事業全体へのフィードバックとしても活用できます。

 

失敗しないための「キャンペーン分割」の判断基準

メリットの多い複数運用ですが、むやみに分ければ良いわけではありません。

分割を検討する際の「3つの鉄則」をご紹介します。

 

データの「希薄化」を避ける

P-MAXのAIが学習を正常に行うには、「1キャンペーンあたり月間30件以上のコンバージョン」が推奨されます。(諸説あり)

予算を分散させすぎて、全てのキャンペーンが月間数件程度の獲得になってしまうと、AIは「誰に配信すべきか」を判断できなくなり、逆にパフォーマンスが低下します。

 

コンテンツの重複を避ける

同じキーワードや同じターゲットに対して、なるべく複数のキャンペーンが競合しないように注意が必要です。

基本的には「商材カテゴリ」や「明確に異なるターゲット層」で分けるところから進めていくのが良いでしょう。

 

LPの準備を怠らない

訴求軸を分ける場合は、その訴求に最適化した専用のLPや記事LPを用意することを推奨します。

場合によっては「入札戦略」や「オーディエンスシグナル」など訴求から少し遠い部分でキャンペーンを区分したいときもあると思いますが、P-MAXはLP(最終URL)も加味した配信を行うため、LPが統一されていると各キャンペーンごとの最適配信は期待しにくく、分割する意義も薄くなってしまうでしょう。

 

まとめ:P-MAXは「任せる」から「使いこなす」フェーズへ

Google広告のP-MAXは非常に強力なツールですが、その真価を発揮させるのは運用者の「戦略」です。

1. 利益率・単価に応じた「予算配分」
2. ターゲットに刺さる「訴求軸×LPの出し分け」
3. 勝ち筋を明確にする「分析基盤の構築」

これらを実現するための「キャンペーン複数配信」は、競合他社に差をつけるための極めて有効な手段となります。

自社のアカウントが現在「1つのキャンペーンにまとめすぎている」と感じる場合は、まずは最も重要な商材から「別キャンペーン」として切り出し、テスト運用を始めることをお勧めします。

宮田 昌平のアバター

宮田 昌平

横浜国立大学卒業。大手インフラ会社で営業職を経験後、マーケティングの世界へ。サウナ、マンガ、キャンプが趣味の2児の父