PEST分析は、ビジネス戦略を立てる上で欠かせないフレームワークの1つです。
PEST分析は、さまざまなビジネスシーンで活用されています。
- 新規事業の立ち上げ
- 新商品の開発
- マーケティング戦略の策定
- 企業の経営戦略の策定
PEST分析では、各要因を単独で分析するのではなく、相互に関連付けて分析することが大切です。自社を取り巻く外部環境を分析することで、ビジネスチャンスやリスクを把握し、適切な戦略を策定しましょう。
PEST分析の基本
要因 | 具体的な例 |
---|---|
Political(政治的) | 政府の政策、法規制、国際情勢(福祉の充実、増税、関税率の引き上げなど) |
Economic(経済的) | 経済成長率、インフレ率、失業率、為替レート |
Social(社会的) | 人口動態、ライフスタイル、価値観、トレンド(少子高齢化、動画SNSの登場 など) |
Technological(技術的) | 新技術の登場、技術の進歩、技術の普及(生成AI、電気自動車の燃費が更に向上 など) |
PESTは「Political(政治的)」「Economic(経済的)」「Social(社会的)」「Technological(技術的)」の頭文字を取ったもので、これらのカテゴリーに分けてビジネス環境を分析します。
「Economic(経済的)」は景気指標が手掛かりになることが多く、例えば消費者物価指数※は総務省が発表していたりしています。
※日常的に購入する食料品、衣料品、化粧品や、家賃、通信料、授業料、理髪料などのようなサービスの価格の動き
その他、失業率も総務省統計局が公表しています。
なぜPEST分析が重要か?
PEST分析の重要性を考えることは、自社を取り巻く外部環境を正しく把握し、適切なビジネス戦略を策定することの重要性を理解する必要があるのですが、その例として新型コロナウイルス(COVID-19)が蔓延時のレストランで考えてみたいと思います。
政治的(Political)
政府の緊急事態宣言の発令により、多くのレストランは休業や営業時間の短縮を余儀なくされた。
政府の外食支援策により、テイクアウトやデリバリーの利用促進など、新たなビジネスチャンスが生まれた。
経済的(Economic)
新型コロナウイルス感染症の流行による経済活動の停滞。
更に原材料費の高騰で、レストランの売上は大幅に減少した。
社会的(Social)
外食の機会の減少により、家庭での食事やテイクアウトの利用が増加した。
健康志向や環境意識の高まりにより、ヘルシーなメニューやサステナブルな食材への需要が高まっている。
技術的(Technological)
オンラインデリバリーの利用が拡大し、レストランは新たな販路を獲得できるようになった。
モバイルオーダーの普及により、顧客の利便性が向上し、レストランの業務効率化にもつながっている。
いかがでしょうか。極端な例ではありますが、どのビジネスも様々な外部環境要因が営に影響を及ぼすため、適切なビジネス戦略を策定ためPEST分析が重要です。
PEST分析の具体的な3ステップ
ステップ1: 情報収集
政治、経済、社会、技術の4つの観点から情報収集を行います。情報収集を行う際には、新聞、雑誌、インターネットなど、さまざまな情報源から情報を収集することが大切です。また、もしあれば業界ならではの専門誌や、ウェビナーがあれば参加してみるのもオススメです。
ステップ2: 情報を分析する
収集した情報を分析し、自社にどのような影響を与えるのかを把握します。分析を行う際には、各要因を相互に関連付けて考えることが大切です。また、機会と脅威に分類して分析することで、自社が取り組むべき課題を明確にすることができます。
ステップ3: 戦略を考える(条件アリ)
自社の強み・弱み、競合他社の状況などが分かっていれば、分析結果を基に戦略を策定します。もし、自社の強み・弱み、競合他社の状況などが分かっていないのであれば、PEST分析では大まかな戦略を決め、詳しいディテールはSWOT分析を活用することをオススメします。
おわりに
外部要因の変化は企業に大きな影響を与えることがありますが、PEST分析を活用することで、状況を正確に把握することができます。
しかし、PEST分析はあくまで「外部要因」を把握するフレームワークのため、例えばそこから最適な戦略を見つけることは困難で、他フレームワークを活用する必要があります。
自社の知りたい情報に合わせた最適なフレームワークを選択し、より良い戦略策定を行っていきましょう。