広告費の半分が金の無駄使いに終わっていることは分かっている。
分からないのはどっちの半分が無駄なのかだ。アメリカの百貨店王 ジョン・ワナメーカー氏(1838~1922)
時代が変わっても、広告の費用対効果に悩む経営者は多いものです。
10年以上広告業界に携わり、現在はデジタルマーケティング会社を経営している小玉と申します。これまで、延べ100社以上の企業から「利益を増やしたいが、広告費を削減できないか?」というご相談をいただいてきました。
特に2025年現在、この手の相談はさらに増えており、その背景には以下のような理由があると思っています。
- 資金繰りの厳しさ
└ コロナゼロゼロ融資の返済開始、賃金の引き上げ など - 広告効果の低下
└ 競争の激化、CPM(インプレッション単価)の上昇 など - VUCA時代の影響
※Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉
しかし、広告の役割や仕組みを正しく理解し、適切な方法で見直せば、利益を維持しながら広告宣伝費を抑えることは十分に可能です。
本記事では、広告業界で10年以上の経験を持つ私が、実際にお客様に提案している「利益を下げずに広告費を削減する方法」について、具体的に解説していきます。
セールスファネルを考える
筆者がコンサルティングを行う中で、よくお伝えしているのが「セールスファネル」という考え方です。
多くの企業が、この概念を理解しないまま広告を実施していますが、セールスファネルを正しく理解し、自社の戦略に取り入れるだけで、広告宣伝費を削減できるケースも少なくありません。
セールスファネルとは?
セールスファネルとは、商品やサービスを知る(認知)段階から、購入に至るまでの流れをモデル化したものです。
ファネル(漏斗:じょうご)の形をしており、上層には多くのユーザーがいますが、段階が進むにつれて購買意欲の高いユーザーだけが残り、徐々に数が減っていきます。
この仕組みを理解することで、どの層にどんな広告を打つべきかが明確になり、無駄な広告費を削減するヒントになります。
セールスファネルの4つのポイント
- ファネルの上層(潜在層)はユーザー数が多い
- ファネルの下層(購入段階)はユーザー数が少ない
- 潜在層のユーザーは、まだ購入を考えていない
- 購入段階に近いユーザーほど、購入意欲が高い
広告施策とセールスファネルの関係
広告費を削減しつつ利益を維持するためには、「今すぐ購入する可能性が高い層」への広告を優先することが重要です。
広告予算に余裕があれば、徐々にターゲットを広げていくのも良いですが、まずは購入意欲が高いユーザーを狙った施策に集中しましょう。
前述のとおり、購入に近いユーザーほど意欲が高いため、購入意欲が低い層(潜在層)向けの広告を削減することで、無駄なコストを抑えながら売上を維持できます。
まずは、自社の広告がセールスファネルのどの層をターゲットにしているのかを確認してみましょう。適切な層にアプローチすることで、広告の費用対効果を最大化できます。
広告で伝える内容を変える
前述でセールスファネルと広告施策の関係をご紹介しました。
前述では、セールスファネルと広告施策の関係について説明しました。ここでは、広告の内容を工夫することで、ターゲット層を変える方法について解説します。
広告の伝え方でファネルの位置が変わる
一般的に、テレビCMはセールスファネル上部(潜在層)に効果的な広告とされています。これは、商品やサービスを広く認知させる目的で活用されることが多いためです。
しかし、テレビCMの内容を変えることで、購入に近い層(顕在層)にアプローチすることも可能です。
事例:テレビCMの内容を変えて来店数アップ
ある店舗ビジネスを展開する企業では、もともとテレビCMで会社のブランドイメージを伝えていました。
・企業のイメージを伝える内容
・中長期的にはブランドの認知度向上が期待できる
・ただし、すぐに来店数を増やすのは難しい
そこで、CMの内容を「現在実施中のキャンペーン情報」に変更したところ、「お得なキャンペーンがあるなら行ってみよう!」と、来店数が増加しました。
このように、広告の内容を変えるだけで、セールスファネルの上層向け施策を下層向けの施策(顕在層向け)に変えることも可能です。
広告の種類だけで判断しない
「テレビCM=潜在層向け」「リスティング広告=顕在層向け」と単純に考えるのではなく、広告の内容がどのターゲット層に刺さるのかを意識することが大切です。
例えば、地域限定のビジネスや、法人向けサービスの多くは、もともとの顕在層が少ないです。顕在層向けの広告施策が限定的なため、広く認知を取る施策(テレビCMなど)を上手に活用する方が適している場合もあります。
測定できない広告はどのように判断するのか
検索広告やSNS広告などのデジタル広告は、クリック数や表示回数がデータとして取得できるため、効果を判断しやすいのが特徴です。
一方で、テレビCMや新聞広告などのオールドメディアは、直接的な成果が分かりにくいため、広告の良し悪しを判断するのが難しいことがあります。
判断基準:「広告施策」と「増やしたい指標」の相関性
測定が難しい広告の効果を判断するために、筆者がよくアドバイスしているのが、広告施策と増やしたい指標(売上・来店数など)に相関関係があるかどうかを確認することです。
デジタル広告の例
デジタル広告でも、効果が分かりにくいものがあります。その場合、広告の出稿量と売上件数の関係をチェックすると、意外な関連性が見つかることがあります。
たとえば、あるデジタル広告では広告管理画面上に成果(コンバージョン)が表示されていなかったものの、広告の配信量が増えると売上も増え、減らすと売上も落ちるというデータが確認できました。
このように、広告自体の効果が分かりにくくても、売上と相関性が確認できる場合、目に見える成果がなくても配信を継続する方がよいという判断ができます。
オフライン広告(店舗ビジネス)の例
たとえば、テレビCMやチラシを配布したタイミングと、来店数の増加に相関性があるかどうかを分析することで、その広告が効果的だったかどうかを判断できます。
その他にも広告だけのクーポンを発行し、店舗でクーポンの利用率を計測するのも有効です。
判断する際に注意したい2つのこと
①広告施策は一度に多く実施しない
広告の効果を正確に測るためには、施策を少しずつ実施することが重要です。
一度に複数の広告を出すと、どの施策が成果につながっているのか分かりにくくなり、効果測定が難しくなります。そのため、できるだけ絞り込んで広告を実施し、各施策の影響を正確に把握できるようにしましょう。
②計測期間は最低2~3ヵ月取る
広告の効果を判断する際は、数日や数週間ではなく、最低でも2~3ヵ月の計測期間を設けることが大切です。
例えば店舗ビジネスでは、広告を見てすぐに来店するお客様もいれば、1カ月後に来店する方もいます。同様に、他の広告施策でも、すぐに反応する人と時間をかけて行動する人がいるため、一定の期間を見て判断する必要があります。
ただし、計測期間を長くしすぎると、効果の低い広告によって利益を圧迫してしまう可能性もあります。計測が目的になってしまっては本末転倒なので、弊社では2~3ヵ月を目安に判断することを推奨しています。
まとめ
いかがだったでしょうか。本記事が少しでも皆さまのお役に立てれば嬉しいですが、ここで紹介したのは一般的な広告宣伝費の削減方法のため、すべての課題を解決するのは難しいかもしれません。
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ミーティング中やその後に、しつこい営業をすることは一切ありませんので(笑)お気軽にお問い合わせくださいませ。
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