男性と女性では、購買心理や消費行動の違いがあります。
例えば、男性は論理的に商品やサービスを評価する傾向があり、女性は感情的に商品やサービスを評価する傾向がある、と言ったりしますよね。
このように、男性と女性は異なる購買心理や消費行動を持つため、効果的なマーケティング戦略を立てるには、その違いを理解することが不可欠です。
この記事では、今回は男女の違いに焦点をあて、それぞれの性別に合ったマーケティング方法をご紹介します。
ターゲット顧客に合ったアプローチを構築する際のヒントにしていただけますと幸いです。
男性脳と女性脳
そもそもなぜ男性と女性で異なる購買心理や消費行動を持つのでしょうか。
実は未だ明確な要因は分かっておりませんが、一説に「脳の構造が異なる」ということが言われています。
男性脳
脳構造
左脳と右脳をつなぐ脳梁(のうりょう)が小さい。その結果、左脳と右脳の連携が密ではないため左脳で考える傾向があると言われています。
思考のクセ
論理的思考・・・言語の認識、計算など左脳での思考を好み、論理的で分析的な能力に優れています。物事を論理的に考え、問題解決に向かいます。
目的思考・・・男性は一つの目標を持ち、それに向かって行動することが好きです。競争心が高く、スポーツやゲームなどで競い合うことが楽しいと感じることが多いです。
コミュニケーションの取り方
一般的にコミュニケーションをあまり好みません。情報を伝えることが目的で、感情的なコミュニケーションよりも論理的なコミュニケーションを好みます。
女性脳
脳構造
左脳と右脳をつなぐ脳梁が大きい。その結果、左脳と右脳の連携が密に行われるため、男性に比べて右脳で考える傾向があると言われています。
思考のクセ
感情的思考・・・直感、ひらめき、イメージ、創造などをつかさどっている右脳での思考を好み、感情や直感に基づいた判断をします。情緒豊かで感受性が高いです。
瞬間思考・・・女性は瞬間の感情や状況に敏感で、今の瞬間が楽しいかどうかに重点を置くことが多いです。過去や未来よりも現在にフォーカスします。
コミュニケーションの取り方
コミュニケーションが非常に重要で、感情的なつながりを築くことを好みます。対話や共感が大切です。
男性脳の特徴を活かすマーケティングアプローチ
データなどを用いて論理的に伝える
男性は目的意識が高いため、「(商品/サービスを利用することで)目的を達成することができるか」という視点で見ています。そのため、物を販売する場合は抽象的な話ではなく、スペックなどを中心の話にすることが効果的と言われています。
最新、最高、高性能
男性は女性に比べて競争心が高いため、「最新、最高、高性能」というキーワードに弱い傾向があります。上述の「データなどを用いて論理的に伝える」と組み合わせ、最新、最高、高性能を、データを用いて説明するとより効果的です。
男性脳の特徴を活かした具体例(男性向け化粧水の場合)
株式会社ポーラ・オルビスホールディングスさんが展開する、男性向け化粧水のLPが男性脳を意識して作られておりましたのでご紹介します。(2023年9月時点)
累計本数、Amazonランキング、「業界初」というコピーなど、男性脳を刺激するようなコピーを上手く表現されていますよね。
男性脳の特徴を活かしたコピー表現例(PCを販売する場合)
製品の特長にCPUとGPUがある場合・・・
「CPUとGPUの性能を大幅に向上させ、4K動画編集もストレスなくこなせる」
製品の特長に処理速度がある場合・・・
「最新のCPUを搭載し、Adobe Premiere Proの処理速度を従来比2倍に高速化」
女性脳の特徴を活かすマーケティングアプローチ
共感を得る
女性は共感を重視するため、何に悩んでいるか、何が不安かをよく理解することが重要です。その上で、その悩みや不安に共感するような内容を文章で伝えると、女性により効果的に訴えることができます。
感情を表現する
女性は感情をオープンに表現することが多いので、良い点を感情的に話すことで女性の購買意欲を高めることができます。PCで例える場合、「このPCを使うと、仕事がもっと楽しいですよ」「このPCがあれば、毎日がもっと充実するでしょう」といった、明るく前向きな言葉を使って、PCのメリットを説明すると良いでしょう。
また前向きな気分にさせる「ワクワク」「ふわふわ」「キララキラ」等の音感も効果的と言われていますので、「仕事がワクワクするPC」も良いかもしれませんね。
女性脳の特徴を活かした具体例(女性向け化粧水・洗顔料・モイスチャーのトライアルセット)
株式会社ポーラ・オルビスホールディングスさんが展開する、化粧水を含む女性向けトライアルセットのLPです。女性脳を意識して作られておりましたのでご紹介します。(2023年9月時点)
女性らしいピンクを中心とした色使い、柔らかいフォントが「ふわふわ」としたイメージを上手く表現されていますよね。
コピーの「もっとうるおって」の「もっと」という表現が、「今の化粧水使ってるけど、もっと潤うものないかな?」と探すユーザーの潜在的な声を代弁(共感)していますね。
また、男性のLPと比較すると分かりやすいですが、ファーストビューの文字数が男性は多いのにも関わらず、女性は少ないということもそれぞれの特徴と言えそうですね。
女性脳の特徴を活かしたコピー表現例(PCを販売する場合)
「PC選びで失敗したくない」という部分に共感する・・・
「PC選びで失敗したくないなら、このPCは間違いない」(共感を得る)
製品の特長にカスタマイズがある場合・・・
「自分好みにカスタマイズできるから、自分らしさを表現できる」
その他、コピー以外では女性は視覚的な情報にも強い傾向があるので、文章で表現するより画像や動画を活用するのも効果的です。PCの場合、デザインや使いやすさをわかりやすく伝えることで、購買意欲を高めることが期待できます。
まとめ
男性と女性、それぞれには購買行動や価値観が異なるという事実は、マーケティング戦略において非常に重要な要素です。この記事で見てきたように、男性は論理的なアプローチが響く傾向にあり、女性は感情に訴えかけるものやな共感するようなアプローチに引かれる傾向があります。
しかし、重要なのはこれらは一般的な傾向であり、すべての男性や女性がこのパターンに当てはまるわけではないということです。
筆者の経験でもこういった傾向があるなと感じる一方で、ジェンダーレスが進んでいますし、そもそも男性脳・女性脳は最新の研究成果を反映していない非科学的という意見もあります。
男性脳・女性脳という考え方があるということを頭の片隅に入れつつ、目の前の顧客が解決したいことはなにか?という原点を忘れないようにしたいですね。