人口約70万人の福井県で10年以上、広告代理店として多くの企業様とお付き合いさせていただいております。
その中で、多くの経営者様が
「どの広告代理店に頼めば良いのか」
「何を基準に選べばいいのか」
といったお悩みを抱えているのを目の当たりにしてきました。
このブログでは、地方の企業がWEB広告代理店を選ぶ際に、失敗しないための本質的なポイントを3つに絞ってご紹介します。
(よく話題になる「料金」や「手数料」の話は一旦脇に置きます)
皆様のマーケティング活動のヒントになれば幸いです。
広告代理店に頼む前に。そもそも「自社運用」はできないか?
意外に思われるかもしれませんが、広告代理店も広告媒体(Google、Yahoo!、SNSなど)のヘルプページを日々確認し、最新情報を学んでいます。広告の設定自体も、数年前に比べて格段に分かりやすくなっており、実際に自社で広告運用されている企業も増えています。
広告代理店は特別な存在だと認識されている方もおられますが、実は同じ状況はなんですね。
もちろん、広告代理店独自のノウハウがあったり、広告代理店に外注することで経営者様や担当者様は本来の業務に集中できるという大きなメリットがあります。しかし、多くの業界で商品やサービスの差別化が難しくなっている現代において、マーケティングは企業の競争優位性を左右する重要な要素です。「重要な業務だからこそ、外部のプロに」という考えも理解できます。
一方で、「社長ご自身が広告を運用した方が成果が出る」というケースも少なくありません。
これは、社長が誰よりもお客様のことを理解し、その課題を的確に把握しているからですね。
そういった背景もあり、弊社では初めてデジタル広告に取り組む企業に関しては
「まずは自社で広告運用を試してみることを検討してみてはいかがでしょうか」
ということをいつもお伝えしています。
もちろん、知識の習得や運用に時間はかかりますが、自社でノウハウを蓄積できるというメリットもあります。またご自身で運用することで、将来的に広告代理店に依頼することになった場合、どういったポイントで選定すればよいのかがわかります。
このような背景があり、特に初めて取り組まれる方には自社運用をオススメしておりますが、ただその上で「やはりプロに任せたい」あるいは「より高度な戦略が必要」と判断された場合にはお受けしており、そういったニーズがあれば広告代理店への依頼を検討しても良いかもしれません。
地方企業が失敗しない!広告代理店選び3つのチェックポイント
広告代理店に依頼すると決めた場合、どのような点に注意して選べば良いのでしょうか。特に地方企業が見るべき、料金以外の重要なポイントを3つご紹介します。
①「流行り」に流されず、事業全体の「戦略」を描いてくれるか?
WEB広告は、あくまでビジネス課題を解決するための「手段」です。しかし、広告を出すこと自体が「目的」になってしまっているケースが後を絶ちません。
- 「今、〇〇(特定の広告媒体)がすごく効果が出ているので、やりましょう!」
- 「若者にアプローチしたいなら、××(流行りのSNS)広告がおすすめです!」
こうした提案は、一見すると魅力的ですが、「広告を使って、あなたの会社のビジネス課題をどう解決するか?」という視点が抜け落ちている可能性があります。
WEB広告には様々な種類があり、それぞれ特性が異なります。以下、一例をご紹介します。
広告媒体 | 特徴 |
YouTube広告 | テレビCMのように、多くの人に「知ってもらう(認知拡大)」のに向いています。しかし、直接的な申し込みや購入に繋げるのは、他の広告に比べてハードルが高い側面アリ。 |
検索広告(リスティング広告) | 特定のキーワードで検索している、課題やニーズが明確な人にアプローチできるため、「申し込みや購入(コンバージョン獲得)」に繋がりやすい広告です。一方で、YouTube広告ほど広範囲に情報を届けることは不向き。 |
SNS広告 | 特定の興味関心を持つ層にアプローチしたり、商品やサービスへの「興味・関心を高める」のに有効。 |
このように、広告媒体ごとに得意なこと、不得意なことがあります。ですから、「今これが流行っているから」という理由だけで特定の広告を勧めてくるのは、少し乱暴な提案と言えるでしょう。
信頼できる代理店は、まずあなたの会社のビジネス課題(例:認知度が低い、新規顧客を獲得したい、リピート率を上げたい、競合に差をつけたい等)を特定し、その課題解決のためにどのような広告を、どのような順番で、どのように組み合わせていくかという「戦略(線)」を描いて提案してくれます。「点」ではなく「線」で、事業全体の成長を見据えたプランニングをしてくれるかを見極めましょう。
②あなたの「お客様」を、深く理解しようとしてくれるか?
冒頭にも記載しましたが、広告業界には「経験の浅い担当者より、クライアント企業の社長が運用した方が成果が出る」という、ある種の”あるある”話があります。
これは、社長が自社の顧客像や、顧客が抱える悩み・欲求(インサイト)を最も深く理解しているからです。
広告代理店は広告運用のプロですが、必ずしもあなたの業界や、その先にいる「お客様」について深く理解しているとは限りません。
表面的な理解にとどまっていると、「送料無料」「今だけ半額」「満足度No.1」といった、どこかで見たような分かりやすい言葉(訴求)を使った、いわゆる「広告っぽい広告」ばかりを提案してくる可能性があります。
しかし、本当に成果が出る広告は、必ずしもそうではありません。むしろ、お客様自身もまだ言葉にできていないような、隠れた悩みや願望(インサイト)を的確に捉えた広告の方が、心を動かし、結果につながることが多いのです。
その代理店が、
- あなたの事業やお客様について、どれだけ深く質問し、理解しようとしてくれるか?
- 通り一遍の提案ではなく、顧客インサイトに基づいた独自の提案をしてくれそうか?
- 過去の実績として、顧客理解に基づいた成功事例を持っているか?
といった点を確認しましょう。表面的なヒアリングだけで、「あとはお任せください」というスタンスの代理店には注意が必要です。
③スピード感を持って「伴走」してくれるか?
テレビCMや新聞広告と違い、WEB広告(デジタル広告)は、早ければその日のうちに配信を開始・停止・変更できるスピード感が最大の特徴です。これは、自社だけでなく競合他社も同じです。
WEB広告の成果は、様々な要因によって変動しますが、特に競合他社の動向(どのような広告を、誰に出しているかなど)は、自社の広告成果に大きな影響を与えます。競合が新しい打ち出し方を始めたら、こちらも素早く対応策を打つ必要があります。
ここで重要になるのが、広告代理店のレスポンスの速さです。
- 質問や相談への返信が遅い
- レポートの提出が遅い
- 市場の変化に対する打ち手の提案が遅い
このような代理店だと、どうしても対応が後手に回り、機会損失に繋がったり、競合に差をつけられたりしてしまいます。
一方、レスポンスが早く、
- 市場や競合の動きを素早く察知し、共有してくれる
- データに基づいた改善提案を迅速に行ってくれる
- こちらの要望や質問に的確かつスピーディーに答えてくれる
代理店であれば、変化の激しいデジタル広告の世界でも、有利に戦いを進めることが期待できます。
また、レスポンスの速さは、単なる業務効率の問題だけではありません。
それは、クライアントとのコミュニケーションを大切にし、真摯に向き合おうとしている姿勢の表れでもあります。自社のことを深く理解しようと努力してくれるパートナーとして、長く付き合える可能性が高いと言えるでしょう。
まとめ:自社の成長を「自分ごと」として考えてくれるパートナーか
ここまで、地方企業がWEB広告代理店を選ぶ際に、料金以外で重視すべき3つのポイントについてお話ししてきました。
突き詰めると、「その広告代理店(担当者)は、あなたの会社の成長を『自分ごと』として捉え、社内の人間のように真剣に取り組んでくれるか?」という点に集約されるのではないでしょうか。
人手不足が深刻化し、特に地方は優秀な人材の確保が難しくなっている今、外部パートナーであっても、自社のことを深く理解し、成功のために汗を流してくれる存在は非常に貴重です。
WEB広告は、単に設定して終わりではありません。
市場の変化、競合の動き、そして何より「お客様」のインサイトを捉え続け、改善を繰り返していく必要があります。生成AIが登場しても、こうしたマーケティングの本質はなくなりません。
ぜひ、今回ご紹介した3つのチェックポイントを参考に、貴社のビジネスを成功に導く、信頼できるパートナーを見つけてください。