Google始め、各広告媒体のアップデートが非常に多く、部分一致もいまや「インテントマッチ」という名称になりました。
(余談ですが、インテントとは英語で「意図」「目的」を指す言葉ですので、ユーザーの検索意図をAIをフル活用して汲み取ろうとしているGoogleの姿勢が表れていますね)
同じ意味だけれど呼称が変わった事案が増えてきており、その中の一つであるオーディエンス マネージャーについて今回は解説したいと思います。
オーディエンス マネージャーとは?
Google広告で設定可能なターゲティングを、一か所に集約・確認できるようにしたものです。
例えば、これまでディスプレイ広告のターゲティングは広告グループ単位で設定できましたが(今も一部可)、リマーケティングのリスト作成は別のページで作成する必要がありましたが、オーディエンスマネージャーの登場により、あちこちにあったターゲティングを一元管理できるようになりました。
では、次からオーディエンスマネージャーの個々の機能についてご紹介していきます。
データセグメント
所謂、リマーケティングリストを作成するところになります。
過去、自社サービスを利用したことのある人、自社YouTube動画を閲覧したことのある人など、自社に対して高い関心を持っている方をリスト化することができます。
カスタムセグメント
「オーディエンス」を先に説明するとややこしくなるので、先にこちらを説明します。
カスタムセグメントでは、まだ自社のことを知らない、もしくは利用したことのない「新規」向けのリスト(ターゲティング)を作成できます。
昔で言うところのインタレストマッチと言われるような、ユーザーの興味関心、購買意向など元にターゲティングを作成することが可能です。
注意点として、カスタムセグメントは色々なターゲティングを設定することができますが、ターゲティングは「AND条件」ではなく「OR条件」になります。
そのため、個々のターゲティングの成果を測りたい場合は一個一個分けて作成するようにしましょう。
オーディエンス
オーディエンスは「データセグメント(≒リマケ)」、「カスタムセグメント(興味関心等)」で作成したリストを元に
AND条件やOR条件を使って、絞り込んだり、まとめたりすることができます。
絞り込むケース
例えば、アパレルのネットショップが一度サイトに訪れたことのある方にセールの広告配信をしたいとします。
男女でクリエイティブを出し分けたいので、データセグメント(リマケリスト)も男女で分ける必要があります。その場合、データセグメントでは男女で分けることが出来ませんが、「オーディエンス」で分けることができます。
このように、「オーディエンス」では 既にあるリストをAND条件で絞り込むことができます。
まとめるケース
ここではリマケリストとカスタムセグメントをOR条件でまとめることを前提にした話になりますが、筆者はAIをフル活用したターゲティングを使用したい場合に利用するのが良いと考えております。
Google広告はAIによる機械学習が進んでおります。AIにより良い運用をしてもらうには、学習となる「データ」が必要になりますので、データは分散させず集約するのがベターです。
リストを細かく分けて管理することでターゲティング毎の成果を把握できる一方で、学習データという観点では個々のリストですと少なくなるためAIの活用度は低いです。
まとめることで1リスト当たりのデータが増加するため、AIの学習が進み、結果として良いターゲティングの実現が期待できます。そのため筆者はAIをフル活用したいケースにまとめることをオススメしております。
統合セグメント
「オーディエンス」の下位互換的な位置づけのものです。
統合セグメントでゼロからリストを作成することはできず、既存のリストをまとることができます。
ただ「オーディエンス」とは異なり、統合セグメントでは既存のリストから興味関心等で除外がすることが可能です。
データの分析情報
データの分析情報ではリストを作成することはできません。
データ分析情報では、自社のデータセグメント(リマケリスト)の偏りを確認することができ、お宝ターゲティングを見つけられるかもしれません。
添付画像では、自社に訪問したことのある方は「遺産管理」に強い関心があることが分かります。
スポーツやテレビなどは多くの方が興味を示すターゲティングとなりますが、今回のような「遺産管理」とかなり限られた方のニーズであり、もし自社サービスに関連性があるのであれば、個別でターゲティングして配信することで成果を伸ばせる可能性があります。
データソース
データソースではリストを作成することはできません。
カスタムセグメント(リマケリスト)の元となるYouTubeやGA4などのデータを連携するパートになります。
グローバルサイトタグ、YouTube、GA4以外に追加できるデータソースは以下の通りになります。
Google Play: 現在のアプリユーザーやアプリ内購入を行ったユーザーを、データ セグメントとしてまとめることができます。
アプリ分析: 第三者のアプリ分析プロバイダ(Firebase など)または広告主様独自のソフトウェア開発キット(SDK)とアカウントをリンクして、アプリを使用しているユーザーを対象に広告を表示できます。
顧客データ: 顧客の連絡先情報をアップロードして、Google 検索、YouTube、Gmail などの Google サービスを使用している顧客に広告を表示できます。
余談:オーディエンスとカスタムセグメントで作るターゲティングの違い
オーディエンスとカスタムセグメント、それぞれのパートで興味関心・購買意向の強いリストを作成することができますがどのように活用するのが良いでしょうか。
購買意向に限った話になりますが、筆者としてはまずはオーディエンスで探して、目ぼしいターゲティングがなければカスタムセグメントで探すがおススメです。
理由は「リストの精度」と「管理」の2点です。
執筆時点では、オーディエンスの方がリストの精度が高いと考えております。それはカスタムセグメントはGoogleが定義していないターゲティングが多い一方で、オーディエンスではGoogleが定義しているターゲティングが多いためです。
例えば「自転車」でそれぞれで検索した場合。カスタムセグメントは「自転車の」「自転車屋さん」「近くの自転車屋」など、ユーザーの検索語句を元にしたようなターゲティングが見られます。その一方で、オーディエンスでは「自転車、パーツ-購買意向」「変速機の修理-購買意向」などGoogleが定義したものが多いです。
このようなことから、リストの精度ではオーディエンスに分があると考えております。
次に管理についてですが、シンプルに二度手間になる可能性があるためです。
上述で精度の違いを説明しましたが、名称が同じターゲティングも存在します。その場合、カスタムセグメントで作ってオーディエンスを作成すると2つのリストを作成してしまうことになりますが、オーディエンスで作れば1つで済みます。
以上のことから、筆者としてはまずはオーディエンスで探すことをオススメしております。
まとめ
Google広告に限らず年々広告媒体のアップデートが多くなっていますが、どの広告媒体もキーワードは「AIの活用」です。AIの力を借りつつ、より良い成果を目指しましょう!