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SWOT分析とは?使い方や注意点を具体例を交えて解説

SWOT分析は、「Strengths(強み)」、「Weaknesses(弱み)」、「Opportunities(機会)」、「Threats(脅威)」を評価して戦略立案するフレームワークです。これら4つの要素を明確にすることで、戦略や計画をより合理的に策定できます。

今回はこのSWOT分析についてあ使い方を具体例などを交えてご紹介します。

なぜSWOT分析が重要なのか?SWOT分析をしないデメリットは?

SWOT分析が重要なのは、企業やプロジェクトが置かれている状況を客観的に、かつ総合的に理解する手段を提供してくれるからです。それぞれの項目(強み、弱み、機会、脅威)について
察することで、内外の要因に対してどのように行動すべきかが明確になります。この過程を経ることで、リソースを効率的に配置し、リスクを減らし、成功の確率を高める戦略が策定できます。

逆に、SWOT分析をしない場合は、以下のようなデメリットがあります。

  1. 方向性の欠如
    地図がないまま運転しているような状態です。どこに向かうべきか、どのルートが最短なのかわからないため、目的地にたどり着けないか、無駄に時間がかかってしまいます。
  2. リスクの認識不足
    暗闇の中を歩いていると、つまづいたり、落とし穴にはまったりする危険がありますよね。事前にその情報を知らないと、急なトラブルに対応できずに大きなダメージを受けてしまいます。
  3. 機会の逸失(いっしつ)
    おいしいケーキがテーブルの上にあるけれど、それを食べるフォークとナイフがない状態です。美味しいチャンスが目の前にあっても、それを掴む準備ができていないと、他の誰かに先を越されてしまいます。
  4. 資源の浪費
    持っているお金を、本当に必要なものに使わずに無駄遣いしてしまうような状態です。何にお金を使うべきかわからないと、後で後悔することになります。

 

要するに、SWOT分析をしないと、どう進むべきかわからず、予想外のトラブルに巻き込まれやすく、大事なチャンスを逃したり、資源(時間、お金、人材)を無駄にしてしまう可能性が高くなります。特に、成功や失敗がどれだけ可能かを見極めるため新規プロジェクトまたはビジネスの立ち上げ段階、もしくは既存ビジネスでも新たな競合の出現、テクノロジーの進化などがSWOT分析することをオススメします。

 

SWOT分析の4つの要素

SWOTは、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字を取っています。これらは次のように理解されます。

    • Strengths: 企業や個人が持つ独自の強みや長所。
    • Weaknesses: 改善すべき点や短所。
    • Opportunities: 外部環境が提供する成長や成功の機会。
    • Threats: 外部環境がもたらすリスクや障害。

Strengths(強み)

企業が得意とすること、競合に比べて優れている点です。以下のようなことを指します。

  • 独自の技術
  • 強力な販売チャネル
  • 安価に製造できる生産拠点 etc.

この項目は競合と比較して相対的に決定するものですので、基本的には他社にはない自社の強みを記入しましょう。
ただし、自社と競合で同じ強みを持っているケースもあると思いますが、その場合は記入しましょう。
各項目をリストアップすることがゴールではなく、「強み×脅威」「強み×機械」でクロス分析した際に、そこから新しい発想が生まれる可能性があるからです。

 

Weaknesses(弱み)

企業が苦手とすること、競合に比べて劣っている点です。以下のようなことを指します。

  • 大企業体質で、意思決定が遅い
  • 生産拠点が国内だけ(原価が高い) etc.

「強み」同様、競合と比較し自社の弱みを記入しましょう。ただ「強み」でもそうですが、列挙する際は「本当に弱みなのか」ということもしっかり検討しましょう。

今回の例であれば、

  • 大企業体質で、意思決定が遅い ⇒ 慎重に議論を重ねて決定している。安心感を安定した経営基盤
  • 生産拠点が国内だけ(原価が高い) ⇒ 日本製の安心感

など、言い換えることもできます。
本当に弱みになるかは、お客様のニーズとマッチしているかという点も考慮して決めていきましょう。

 

Opportunities(機会)

企業にとって追い風になる外部要因です。以下のようなことを指します。

  • グローバル化により販路が拡大
  • インバウンド需要の拡大 etc.

業界によって機会は異なります。他業種にとっては次で紹介する脅威になるケースもあります。自社が所属する業界にポジティブな影響を与える機会は何があるのか、漏れなくピックアップしましょう。

 

Threats(脅威)

企業にとって向かい風になる外部要因です。以下のようなことを指します。

  • 人材の流動性が高まり、優秀な人材が他社に転職してしまう
  • 天災のリスク etc.

機会同様、業界によって脅威は異なります。自社が所属する業界にネガティブな影響を与える脅威は何があるのか、漏れなくピックアップしましょう。

 

 

SWOT分析の具体的な手順

SWOT分析はマスに埋めていだけですので一人で実施することも可能です。しかし、一人で行ってしまうと偏った分析結果が出てしまう恐れがあるため、客観的かつ公平な視点を取り入れるため様々な部署の方に参加いただくことをおすすめします。

  1. 参加者の決定
    マーケティング担当者だけではなく、製品開発チーム、カスタマーサポートの方をメンバーに入れることをオススメします。製品開発チームの方が参加いただくことで、成分や原料など、定量的な部分での強み、弱み発見につながる可能性があります。またカスタマーサポートの方が参加いただくことで、お客様のニーズや、自社に対する客観的な意見を知ることができるため、より客観性の高い分析が期待できます。
  2. 強み(Strengths)をリストアップ
    集まった人たちと、この企業が得意とする点を話し合います。
  3. 弱み(Weaknesses)をリストアップ
    次に、改善しなければならない点、または競合に比べて劣る点を考えます。
  4. 機会(Opportunities)を考える
    外部環境で捉えられる機会をリストアップします。
  5. 脅威(Threats)を考える
    最後に、この企業にとっての外部からの脅威を考えます。
  6. 戦略を考える
    内部環境×外部環境の組み合わせで戦略を検討する

 

 

SWOT分析の具体例

今回は健康食品をインターネットで販売している企業を例に具体的な手順をご紹介します。

  • 強み(Strengths)をリストアップ
    例:この企業の健康食品は、オーガニック成分のみを使用している。また、迅速な配送で評判が良い。
  • 弱み(Weaknesses)をリストアップ
    例:しかし、価格が少し高いため、広い層に受け入れられていない。
  • 機会(Opportunities)を考える
    例:サブスクリプションが一般化しつつある。コロナ以降、一部で高級志向が高まってる。
  • 脅威(Threats)を考える
    例:大手スーパーマーケットがプライベートブランドで健康食品を安価で提供し始めた。これが顧客を奪う可能性がある。
  • 戦略を考える

    【強み×機会】
    「プレミアム」な健康食品としてのポジショニングを強化し、“高い価格でもその価値がある”と感じさせる。そのために、産地ストーリー、製造過程の透明性などストーリーテリングを重視する。
    【弱み×機会】
    サブスクリプションモデルを導入し、実質値下げ(量当たりの単価を値下げ)を検討する

いかがだったでしょうか。あくまで一例ですが、SWOT分析から得られた情報に基づき、このような具体的なアクションプランに繋げることができます。
戦略策定となると、攻めの戦略だけを検討しがちですが、SWOT分析を通じて「やらない戦略」を決めるのも有用です。

 

SWOT分析の注意点

戦略策定で有効なSWOT分析ですが、いくつかの注意点もあります。
「一人で実施せず、複数人で実施する」ということ以外で、筆者が特に注意した方が良いと思う点を3つご紹介します。

過度な単純化

4つのカテゴリ(Strengths, Weaknesses, Opportunities, Threats)にすべてを当てはめようとするあまり、物事の背景や複雑性が無視されてしまう恐れがあります。例えば、ある人が「このアイスクリーム、安いからいいね!」と言ったとします。確かに「安い」ことは多くの人にとって「強み」ですよね。でも、そのアイスクリームが安いだけでなく、美味しくなかったり、添加物が多かったりすると、その「安さ」だけを見て「これはいい!」と判断するのは短絡的ですよね。

このように「安い=良い」と簡単に結論付けてしまうと、そのアイスクリームの「弱み」や「脅威」である美味しくない、添加物が多いというを見落としてしまう可能性があります。このように、一つの特長だけに目を奪われ、他の重要な側面を見落としてしまうのが「過度な単純化」です。

その対策として、多角的な視点を入れる目的で複数人で実施することを推奨しておりますが、参加者に「”過度な単純化”というものがある」ということを伝えることがおすすめです。

 

分析結果を「ずっと」は使えない

分析結果は、あくまで「分析時点」での結果です。
例えば、COVID-19のパンデミック前にSWOT分析を行い、その時点での「機会」に「国際展開」を挙げたとします。しかし、パンデミックが起こった後、国際展開は大きな「脅威」に変わる可能性があります。このように、時間と状況の変化によってSWOT分析の内容は大きく変わることがあるので、分析結果を「ずっと」使うことができないため、定期的な更新が必要です。

 

SWOT分析をする前に、決裁者にSWOT分析の説明をする

分析結果を元に「何をどう行動するか」が重要ですが、SWOT分析の結果、大幅な戦略変更を余儀なくされることもあります。

変化に対する抵抗が強い組織文化では、新しい計画が進行しないこともあります。また分析の結果、資金・人手が不足しているといったこともあるかもしれません。
どんなに良い分析結果でも実行に移せないケースがあるため、SWOT分析をする前に、決裁者や有力者に「分析の結果、資金が必要になるかもしれません」「○○さんに話を通しておいてくれませんか」などSWOT分析の説明や根回しておくことをオススメします。

 

おわりに

いかがだったでしょうか。

この記事で紹介した基本的な枠組みと具体例を参考に、組織の強みと弱み、外部環境に潜む機会と脅威をしっかりと把握しましょう。具体的なアクションプランを立てることで、より効果的な戦略を立てていただけると幸いです。

小玉 修平

小玉 修平

広告代理店2社でマーケティング責任者、マネージャーを経てALTWA創業。2児の父、趣味はランニング(低速)

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